


東京都の私立高校実質無償化が追い風に!?多摩地域の私立中学校の進学率は?
いよいよ受験シーズン!東京都では、公立小学校に通う小学生の5人に1人は、都内の私立中学校に進学するといわれています。さらに、2024年4月からは年収制限が撤廃され、東京都のすべての世帯で私立高校授業料は実質無償化されるという、大きな子育て支援が導入されました。
そこで、現在の多摩地域における中学進学率はどうなっているのかを調査しました!
多摩地域の私立中学進学率は過去5年横ばい
10人に1人が私立中学に進学東京都全体では5人に1人
※東京都教育委員会が発表する公立学校統計調査報告書から算出
東京都教育委員会が発表する「公立学校統計調査報告書」によると、令和5年度の東京都全体の私立中学進学率は20.1%となっています。
多摩地域においては、私立中学進学率は、令和元年度は10.1%、令和5年度は10.4%であり、過去5年間、横ばい傾向にあります。
自治体別に見ると、令和5年度では武蔵野市が32.5%と最も高く、次いで三鷹市が12ポイント下がって20.2%、調布市が18.5%となっています。一方で、10%以下の地域も多く、立川市は8.8%、八王子市は7.3%と、自治体ごとに進学率にばらつきが見られます。
東京都全体の進学率を比較すると、文京区が48.2%と最も高く、次いで港区が44.8%、中央区が42.4%となり、都内でも地域差が顕著であることがわかります。
多摩地域の私立中学進学率データ(令和5年度)
30%台
武蔵野市:32.5%
20%台
三鷹市:20.2%
10%台
調布市:18.5%、狛江市:18.1%、小金井市:16.1%、国分寺市:15.1%、国立市:14.9%、稲城市:14.0%、西東京市:13.0%、多摩市:12.6%、小平市:10.2%
10%未満
府中市:9.9%、立川市:8.8%、奥多摩町:8.3%、八王子市:7.3%、昭島市:6.6%、東久留米市:6.6%、東村山市:6.2%、福生市:6.2%、東大和市:5.9%、日野市:5.7%、あきる野市:5.4%、町田市:5.4%、清瀬市:5.3%、羽村市:5.1%、武蔵村山市:4.6%、日の出町:4.4%、青梅市:3.9%、瑞穂町:3.3%
0%
檜原村
首都圏の中学受験の傾向は?
大学入試改革やコロナの影響により、依然高い人気
出典:首都圏模試センター
首都圏模試センターのデータによると、2023年から2024年にかけて首都圏の中学受験者数は微減したものの、過去2番目に多い水準を維持しており、依然として高い傾向にあります。
首都圏で中学受験率が増加傾向にある理由として、主に2つの要因が挙げられます。
1つ目は、2025年度の大学入試改革です。文部科学省は、「現在、我が国は、グローバル化の進展や技術革新、少子化など、大きな社会変動の中にある。その中で自ら問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造する力が重要になる」とし、思考力や判断力を重視した大学入試改革を行いました。これに伴い、私立中学が打ち出す探究学習やグループワーク、英会話授業など多彩なプログラムに注目が集まり、受験を目指す家庭が増えています。
2つ目は、新型コロナウイルスによる学校閉鎖時の対応です。私立中学は迅速なオンライン授業の導入など、柔軟な対応を見せたことで評価が高まりました。また、メンタルケアに関するノウハウが充実しているキリスト教系や仏教系の学校も人気が高まっています。
東京都では私立高校無償化も追い風に
さらに東京都では2024年度から高校授業料の実質無償化が実施され、所得制限も撤廃されたことで、恩恵を受ける家庭が大幅に広がりました。この私立高校の実質無償化により、これまで高額な授業料がネックとなり、経済的理由で受験を諦めていた家庭の中には、中学受験にチャレンジする家庭が増えるのではないかと考えられています。
実際に、小学5年生の子を持つ保護者からは、「私立が無償化になったことで、金銭的に私立受験を考えていなかったが、選択肢に入れられるようになった。国立や都立はかなり狭き門なので、私立の選択肢が視野に入ることは、子どものプレッシャー解消にもつながる」といった声も聞かれます。
教えて!みんなの「中学受験」リアルボイス
多摩地域に暮らすパパやママに、お子さんの受験理由について伺いました。
いずれする受験を早めに済ませたかったから
ある程度の偏差値の大学に進学するためには、どこかのタイミングで勉強を頑張る必要がある。であれば、早めに面倒ごとは片づけてしまった方がいいよね、と子どもを説得した。自分が大学付属中学に通い、とても良い経験をしたので、子どもにもその環境を用意したかった。(小4のパパ)
大学入学を見据えて
先行き不透明な時代だからこそ、安定性の高い企業に就職して幸せに暮らして欲しいという思いがある。中学受験して良い中学と高校に進学、良い大学出て、良い企業に就職して欲しい。(中2・小5のママ)
地元の公立中学が荒れていたため
地元の公立中学校が荒れており、警察が巡回するほどの問題になっていたため。(中2のママ)
中学の内申点制度に不安を感じて
好奇心旺盛だが、生活能力のない息子。いくら口すっぱく忘れ物や提出物について声をかけても必ず忘れ物が発生してしまう。そんな息子が中学に入って、几帳面に提出物や課題をしっかりこなせるはずもない。きっと内申点は悪いだろうなと諦め、自由な校風の中学を受験することにした。(中3、小6のママ)
自信がつくため
最初は軽い気持ちで塾に通い始めたが、偏差値の高い中学校を受験し合格したことで、子どもに勉強への自信がついた。勉強自体が楽しいと感じるようになり、親である私が『勉強しなさい』と言わなくても、自ら率先して勉強をするようになった。(中1のママ)
気の合う友達を増やしたい
小学校は公立で同級生と良好な人間関係が築けず、私立中学を受験した。結果的に一生ものの友達ができ、充実した中学・高校時代を過ごせた。将来への選択も広がった様子。(高1のママ)
多摩地域では、私立中学への進学率が過去5年間横ばい傾向で推移しており、東京都全体の私立中学進学率の20.1%と比べ、約半分の10.4%、「10人に1人」という結果となりました。2024年度から私立高校の実質無償化が実施されたことで、さまざまな世帯が私立中学校を検討しやすい環境が整いつつあります。これを機に、お子さんと進路について話してみるのもよいかもしれません。
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取材・文/加賀美明子(NeemTree)