くらし Share

「まだ着られる」を届け合う。こども服の譲渡会がつくる新しい循環とは?ゼンドラ社長にインタビュー

 

tama-zendora-thumb.png

サイズアウトしたこども服が、また誰かの暮らしで生きる。そんな循環が、家計と環境にやさしい選択として広がっています。

ゼンドラが展開するこども服の譲渡会には、毎回多くの親子連れやおじいちゃんおばあちゃんが参加。「次はいつやるの?」という声が飛び交うほど、大にぎわいです。今回は、譲渡会が生まれた背景や親子の気づきについて、代表の関さまにお話を伺いました。

こども服をつなぐ「こども服の譲渡会」

まず、「こども服の譲渡会」とは、どのような取り組みでしょうか?

tama-zendora-1.png

こども服の譲渡会は、サイズアウトして着られなくなったこども服を必要な方に橋渡しする取り組みです。

これまで、関東地方を中心に80回(2025年12月末時点)以上開催してきました。1回あたりの来場者数は、少ない会場でも200〜300人。先日、川崎で開催した際には、2日間で約1,600人の方にお越しいただき、多くのこども服が新しい持ち主のもとへ渡っていきました。

「こども服を持参しないと参加できませんか?」とご質問いただくこともありますが、そんなことはないんです。好きなものを持ち帰れますし、持ってきていない方でも自由に受け取っていただいて大丈夫。「譲渡会」なので、気負わず、ふらっと立ち寄っていただければ十分なんですよ。

譲渡会へ訪れる方の反応や雰囲気を教えてください。

来場者の多くが「次はいつやるんですか」と聞いてくださるのが印象的です。開催を重ねるほど次回を楽しみにしてくださる方が増えるのを感じていて、本当に励みになります。服を選んでいる途中でお友達に電話をかけ、「今すぐ来たほうがいいよ」と伝えている場面も少なくありません。「良い」と思った瞬間に行動してくださる様子が、見ていてうれしいんです。

譲渡会では、お子さまと一緒に来られたお父さまが、ビデオ通話で奥さまにこども服を見せながら、「これどう?」と相談したり、ご年配の方がお孫さまのために洋服を選んでいたり。世代をまたいで洋服がつながっていく様子を見られるのは、なんともあたたかい光景だなと感じています。

教科書では学べない。「ものを大切にする気持ち」を育む場

譲渡会には親子で訪れる方も多いそうですね。お子さまには、どんな学びが生まれていますか?

tama-zendora-2.png

「ものを大切にする気持ち」や「誰かと分け合う感覚」が、お子さまにとっての学びや気づきになっていると感じます。ある日、お母さまがお子さまに「この服は、サイズが合わなくなった子が持ってきてくれたんだよ。あなたも着られなくなったら、譲渡会に持ってこようね」と、声をかけていたのを見かけました。こうしたやりとりは、教科書だけでは得られない体験。きっと譲渡会に来たからこそ生まれた会話だと思います。

教育関係者さまからも、「社会課題に触れる機会は大学以降になる場合が多いけれど、譲渡会ならもっと低い年齢から無理なく関われる」といった声をいただいています。そんなふうに感じてくださる方がいるのはうれしいですね。

譲渡会の運営で意識しているポイントを教えてください。

運営で大切にしているのは、「分かりやすさ」です。お子さまが自分で見て選べるように、事前にサイズごとに仕分けして、当日は10センチ刻みで並べています。とくに95cm前後は差が出やすいので、5cm刻みにして迷わず手に取れるように整えています。

tama-zendora-3.png

また、これまでは男の子用・女の子用とでエリアを分けていましたが、大学生との取り組みの中で「性別を区分けせず並べてみよう」というアイデアが生まれました。ジェンダーレスの視点もありますし、何より「自分が着たい服を自由に選んでほしい」と思っているんです。

譲渡会の原点は、お母さんたちの声

こうした譲渡会はなぜ始まったのでしょうか?

きっかけは、商工会議所青年部で「地域の役に立つ取り組みをしたい」と考えたことでした。当時は青年部の代表を務めていたこともあり、もっと暮らしに寄り添える活動を形にしたいと思い、こども服の回収を始めたんです。

集まった服を子ども食堂に並べると、お母さまたちが「無料なんですか?」と驚きながら、うれしそうに持ち帰ってくれました。「うちにも眠っている服がたくさんあって......」という声も次々に届き、この取り組みには広がる余地があると強く感じました。

お母さまたちの声が、活動を広げるきっかけになったんですね。

そうなんです。さらに大きなヒントになったのが、ある主婦の方から伺った「洋服の捨て方」のお話でした。サイズアウトしたこども服を捨てるとき、透明のごみ袋だと中が見えてしまいますよね。その方は「ご近所の目が気になり、まだ着られる服を手放すことに後ろめたさを感じている」と話してくれました。

どうすれば気持ちよく手放せるのかを考えたとき、普段から洋服を持ち込む"クリーニング店"なら、そのハードルを下げられるのではと思ったんです。そこで回収ボックスを設置したところ、少しずつ服が集まるようになりました。

tama-zendora-4.png

今では、商業施設や保育園・幼稚園、市区町村のリサイクル推進店にも回収ボックスが広がっています。時には、遠方の方が送料を負担してまで、宅配便で送ってくださることもあります。こうしたあたたかい想いとご支援に支えられて、譲渡会の輪が広がってきました。

「お互い様」の精神で。譲渡会がめざすこれから

活動を続ける中で、保護者の方に伝えたいことはありますか?

tama-zendora-5.png(取材にご協力をいただいたゼンドラ株式会社の関様)

洋服の存在を、あらためて意識していただけたらと思っています。衣食住の中では「衣」がつい後回しにされがちですが、人の暮らしに欠かせない存在です。赤ちゃんは生まれてすぐ体温を守るためにおくるみなどに包まれますよね。その流れを考えると、「衣」は命を支える基盤であると感じています。

私たちは譲渡会とあわせて、衣類の備蓄を呼びかける取り組みも進めています。近年は水害も増えていますが、行政には衣類の備蓄がほとんどありません。震災時には、濡れたままの衣類で冷え込む夜を過ごし、低体温で亡くなった方が多かったという調査もあるんです。たった一枚の洋服が、命を左右する場面がある事実を知っていただけたらと思っています。

今後、譲渡会をどのように広げていきたいとお考えですか?

こども服を持ち帰っていただくことで、節約できたお金を食事やレジャーなど「家族の楽しみ」に回してもらえたらうれしいです。

譲渡会の取り組みは、「お互い様」の気持ちで支え合える活動です。環境省から令和6年度のモデル実証事業に採択いただいたこともありだんだんと根付いてきましたが、私たちだけでは手が届かない部分もあります。場所を貸してくださるところ、情報発信が得意な方、人手をお貸しくださる企業など、それぞれの得意分野を少しずつ寄せていただけたら、とてもありがたいです。今後も首都圏を中心に取り組みを広げながら、地域に寄りそっていければと考えています。

ゼンドラ株式会社
https://www.zendora.co.jp/

ゼンドラ株式会社は、クリーニング業界専門紙「全国ドライクリーニング新聞」を発行する会社です。創業の地は富山県富山市で、2025年11月に創業60年を迎えました。現在は、業界紙の発行に加えて、クリーニング店での商品サンプリング、リユース衣類の回収、無償譲渡など、地域に寄り添った取り組みも行っています。

tama-zendora-6.png(関さま、素敵なお話をありがとうございました!)

多摩信用金庫でも譲渡会を開催します!

春に向けて、サイズが変わりやすい時期。多摩信用金庫でも、こども服の譲渡会を実施します!普段着からよそ行きの洋服まで見つかるかもしれません。サイズアウトした服を持っていなくても大丈夫。気に入ったものを必要な分だけ持ち帰れます。親子で立ち寄れる時間になればうれしいです。

tama-zendora-7.jpg

なお、譲渡会にてこちらのページを提示いただくと1枚追加でこども服をお持ち帰りいただけます。

tama-zendora-12.png

同時開催企画 「こども服の思い出、あずかります」

譲渡会にあわせて、こども服にまつわる思い出をLINEで募集します。
こども服に込められた想いをいったん"たましんがあずかり"地域へつなぐ企画です。

tama-zendora-9.jpg

企画概要

・こども服にまつわるエピソードをLINEで投稿
・投稿された思い出の一部を、会場で展示
・こども服に込められた「ありがとう」の思い出をみんなでシェア

応募方法

・多摩信用金庫の公式LINEから投稿
・写真あり・なしどちらでもOK

参加特典

・LINEで届く「ありがとうメッセージ」を会場で提示するとRISURUミニノートをプレゼント(非売品)

【エピソード例】

・兄弟おそろい!いっぱい着せました(ままちっぷす)
・実家に行くと、ばあばが寒さを心配して、着ぶくれでパンパンに。その姿がいとおしかった。(はるこた)
・大切にしすぎてる間に気づいたらサイズアウト、気にいってくれる人に着てほしいな。(まろん)

▼投稿に関する確認事項

tama-zendora-13.png

取材・文:たまちっぷす編集部 熊澤 南

Recommend おすすめ