豊かな湧水が流れる うるおいとやすらぎの街 国分寺市 vol.28
国分寺市は東京都の中心・重心(へそ)。
国分寺・立川両市の境界付近から大田区まで約30km 続く国分寺崖線(がけ地・ハケ)は、国分寺市内の北西端から南東部まで連続していて、各所に豊かな湧き水があり野川に注いでいます。
市内には、環境省の名水百選に選ばれた「お鷹の道・真姿の池湧水群」や、新幹線が開発された地であることを伝える新幹線資料館など、歴史を感じられるスポットがいっぱい!清流の流れに耳を傾けながら、家族みんなで自然豊かな国分寺市の散策を楽しみましょう。
9:00~ 新幹線資料館 ~見る~
JR 中央線国立駅北口から徒歩約7分の国分寺市施設「ひかりプラザ」敷地内に、本物の新幹線の車両そのものが資料館となっている【新幹線資料館】があります。
資料館の目の前には、世界初の高速鉄道・東海道新幹線を開発した現在の公益財団法人鉄道総合技術研究所があり、こちらの研究所で新幹線車両「ひかり号」が研究開発されたことにあやかり、この周辺の町名は<光町>と名付けられました。展示されている新幹線車両は、鉄道総合技術研究所から国分寺市に無償譲渡された951形試験電車です。この951形は、昭和47年に当時の世界最高速度286㎞/hを達成した記念すべき車両でもあります。
車両館内は、当時のままの運転席や座席が残され、自由に座ることができます。新幹線開発の歴史を描いたパネルや、昭和の街を再現したジオラマが飾られ、スイッチを押せば動く鉄道模型を楽しめます。隣接する「ひかりプラザ」建物内にも、鉄道模型が走るジオラマやリニアモーターカーをテーマにしたコーナーがある鉄道展示室があるので、合わせて見学するのがおすすめです。
キッズボイス
本物の運転席に座れて、レバーに触れるのもうれしい!
パパボイス
国分寺市は、新幹線を生み出した鉄道総合技術研究所がある街。【新幹線資料館】は国分寺ならではの施設だと思う!
【INFORMATION】
新幹線資料館
https://www.city.kokubunji.tokyo.jp/machi/midokoro/1023848/1024005.html
10:30~ 駄菓子屋くにきたべーす ~遊ぶ~
新幹線資料館から国立駅方面に歩くこと約6分のところに、誰もが集えるたまり場を提供する【駄菓子屋 くにきたべーす】があります。もともとあった建具店を改装して作られた広々とした店内には小上がりがあり、机や椅子が設置され、子どもから大人までさまざまな年代の方が集える空間となっています。
「人の嫌がることをしない」「物を大事にする」などのマナーを守れば、ルールはありません。駄菓子のほかに、本棚いっぱいの本や TV ゲームもあり、友だち同士だけでなく、店主とゲーム対決をしたり、ときには提灯を持って夜をお散歩するイベントや地元のお店が参加するマルシェなども開催されたりと、地域に開かれた駄菓子屋でもあります。
2023年からは、不登校の子たちが集える場所として通えるフリースクールがオープンしました。カリキュラムは特にありませんが、みんなでごはんを作ったり、ゲームをしたり、外遊びをしたり、そのときどきで好きなことや思いついたことを子どもたちと話し合いながら大人も一緒に楽しんで行っているのだそう。店内には、子どもたちが作ったポップが展示され、子どもたちが品だしや店番のお
手伝いをする姿が見られることも。自分の気持ちを大切に、"何かやってみたいな"と思えるような、子どもが主体の秘密基地となっています。
キッズボイス
店内で Nintendo Switch をやったり、本を読んだり、おしゃべりしたり、自由に遊べるよ。外には芝があり、友達とカードゲームをしてのんびり過ごせるのもいい。
パパボイス
地域の方々も交えたお祭りやイベントもあり、無理なく楽しく参加させてもらっている。ゆるい感じがありがたい。
【INFORMATION】
駄菓子屋 くにきたべーす
※営業日は水・木・金 14:00-17:00 不定休なので HP のカレンダーを確認しましょう。
https://itot.jp/interview/16111
11:30~ お鷹の道・真姿の池湧水群 ~歩く~
JR 中央線・武蔵野線西国分寺駅南口から歩いて約12分のところに、【お鷹の道・真姿の池湧水群】があります。国分寺崖線から湧き出た水路がお鷹の道の遊歩道沿いにあり、ケヤキ・イヌシデ・スギ・コナラなどの雑木林に囲まれています。春から初夏にかけて沿道に見られる<カラー>の花が人気一つで、豊かな自然が広がる四季折々の散策を楽しめます。距離は約 350mと短く、気軽に訪れられる場所です。
お鷹の道の途中には、<真姿の池>があり、朱色に塗られた鳥居をくぐって太鼓橋を渡ると、弁財天が祀られています。この池には平安時代、絶世の美女といわれた玉造小町が病に苦しみ、武蔵国分寺で願をかけたところ、「池で身を清めよ」との霊示を受け快癒したとの言い伝えがあり、今も参拝者が絶えないのだそう。たっぷりと流れ出る湧き水を眺めながら癒しの時間を楽しみましょう。
キッズボイス
池では、水が湧いているところを見られるよ! 立派な鯉もいるよ。
ママボイス
鳥居や竹柵、石畳など、古都を歩いているかのような風情がある。案内板も多く、歴史を感じながら散歩ができる。野菜の直売所もあって楽しい!
【INFORMATION】
https://www.city.kokubunji.tokyo.jp/shisetsu/kouen/1005195/1004229.html
12:30~ カフェスロー ~食べる~
お鷹の道より都立殿ヶ谷戸庭園方面に歩くこと、約15分のところに季節の野菜をたっぷりと使ったごはんやおいしいコーヒーを楽しめるオーガニックカフェ<カフェスロー>があります。 店内は、一枚板を使ったテーブルや藤の椅子、藁と土でできた暖かみある自然素材が使われ、窓の外には緑が広がっています。時には鳥のさえずりも聞こえ、気持ちのよい時間を過ごすことができます。「カフェスローのスローには、"つながりなおし"という意味が込められています。私たちは、自然や家族、友人、地域の人々など、さまざまなつながりを持って暮らしています。一杯のお茶碗一つ取っても、その向こうには田んぼや風土、歴史があり、育てた人々の想いがあります。そういったつながりを改めて感じられるような暮らしを提案しています」と話してくださったスタッフ・白石さん。 店内にはギャラリーがあり、地元のパン屋さんや草木染の洋服の販売など定期的に内容が変わります。作り手の思いやものづくりの過程を感じられるポップアップストアが人気です。
看板メニューは有機や特別栽培などの旬の食材をふんだんに使用した<季節のヴィーガン・スロープレート>。肉や魚を使用していないのに、おいしく食べ応えがあると評判です。主食は、山形県在来のお米<さわのはな>を使用した玄米ごはん、または自家製玄米パン。圧力釜で炊いた玄米はもちもちで、噛めば噛むほど甘みとうまみを感じられます。お子さん用の<こどもヴィーガンスロープレート>も人気です。 店内には畳が敷かれた小上がりのキッズスペースがあり、本やおもちゃが揃えられ、お子さんがゆっくり過ごせる工夫がされています。子ども連れでも安心してくつろげるカフェとして、ぜひ気軽に訪れてみてください。
キッズボイス
池しいたけの学校のワークショップに参加したよ。しいたけ作りの話や収穫が楽しかったよ!
ママボイス
ギャラリーの展示や販売が楽しく、食事が目的ではなく訪れることもある。本やおもちゃが置かれたキッズスペースもあり、子連れもゆっくり楽しめる!
【INFORMATION】
カフェスロー
https://cafeslow.com/
14:00~ 都立殿ヶ谷戸庭園 ~見る~
カフェスローより、国分寺駅方面へ歩くこと約8分のところに、<都立殿ヶ谷戸庭園>があります。都立殿ヶ谷戸庭園は、かつてこの地が国分寺村殿ヶ谷戸と呼ばれていたため名づけられた庭園で、自然の地形を生かした回遊式庭園となっており、武蔵野の山野草や、数寄屋作り風の茶室・紅葉亭、東京都名湧水 57 選に選ばれた「次郎弁天の池」などの見どころが楽しめます。井戸水を利用した鹿おどし(ししおどし)もあり、心地よいリズムを奏でています。
竹を曲げて加工する技術や組み上げる工法を基本に改良を加え改修された<萩のトンネル>は、萩の葉っぱに覆われ、気持ちの良い木漏れ日と涼を楽しめるこれからの季節にぴったりの涼みスポットとなっています。秋には、ピンク色の花を咲かせ、人々の心を和ませてくれることでしょう。
「殿ヶ谷戸庭園は150種類以上の山野草が園内の色々なところに分散して自生しています。植物園のように群生しているものばかりではありませんので、宝探しのように旬の山野草を見つけるのも楽しみ方のひとつです」と教えてくださった都立殿ヶ谷戸庭園の櫻岡さん。これからの季節楽しめる植物について教えていただきました。
ぜひ、季節ごとに咲く花の宝探しをお子さんとともに楽しみましょう。
見頃の目安
6 月:ホタルブクロ、オオマツヨイグサ、オカトラノオ、カワラナデシコ
7 月:レンゲショウマ、ヤマユリ、オオバギボウシ、キツネノカミソリ
【INFORMATION】
都立殿ヶ谷戸庭園
https://www.tokyo-park.or.jp/park/tonogayato/index.html
国分寺市内は、都会とは思えない癒しの親水空間が広がっています。市や地域の人々も保全に力を入れ、受け継がれてきた歴史や自然、周りの人々とのつながりを大切にしている地域でもあります。
国分寺市ならではの自然と風情を感じながら、気持ちのよいお散歩コースをお楽しみください。
取材・文/加賀美明子(Neem Tree)