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地域に根ざす個性豊かな施設を楽しむ 町田市 vol.31

 
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町田市は、多摩地域のなかで八王子市に次いで2番目に人口が多く、市域面積の広さは4位と大きな市で東京都のベッドタウンとしても知られています。鉄道はJR横浜線、小田急小田原線、東急田園都市線、京王相模原線の4路線が通り、路線バスも充実しているため、市内のさまざまな場所へ気軽に訪れることができます。
今回は、地域に根ざした歴史ある個性豊かな施設をご紹介します。町田市の"非日常空間"をお楽しみください。

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11:00~ 西山美術館 ~見る~

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小田急小田原線鶴川駅より、鶴川33番系統、もしくは町田53番系統の路線バスに乗り、停留所「綾部入口」で下車し、歩くこと2分のところに、1971年に清掃用具のレンタル事業としてスタートした株式会社ナックの創業者・西山由之さんが設立した私設美術館【西山美術館】があります。

モーリス・ユトリロの絵画、およびオーギュスト・ロダンの彫刻をおよそ130点、世界18ヵ国から収集した世界の銘石を73点を展示する美術館です。

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モーリス・ユトリロとは、独特の白い絵具を使いパリの北部モンマルトルの街並みを表現し<白の時代>として人気を博したエコール・ド・パリを代表とする画家の1人です。
西山美術館には、白の時代の絵画19点をはじめ、"色彩の時代""モンマニーの時代"などの油絵やリトグラフ、写真、素描、珍しい壷絵など82点を収蔵し、フランスのモーリス・ユトリロ美術館に次ぐ、世界第2位の収蔵数を誇ります。なんと、個人での収蔵数は世界第1位なのだとか。

美術館は5階建てで、1階が受付、2階、3階が「ロダン・銘石館」、4階と5階が「ユトリロ館」と構成されており、3階までは無料で入れるのだそう。さらには、館長・西山由之さんの「幼少期から一流に触れることが大事」との思いから、15歳以下の入場料は無料です。

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「ロダン・銘石館」には、直径96.6cm、重さ1,220kgもある、ギネス世界記録に登録された世界最大のローズクォーツを始め、人の背丈を超える大きさの<紫水晶>や<黄金水晶>など、73個もの鉱石が飾られており、さながらパワースポットのようです。美術館の隣には、水晶を御神体とした<開運神社>も設置されています。
「ロダン・銘石館」に展示された鉱石は、直接手で触れて触ることができます。ぜひ、見て触れて石の持つパワーを感じてみてください。

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キッズボイス
ギネス世界記録のローズクォーツはすごく大きかったよ!

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ママボイス
館長の趣味が詰まった、個性豊かな美術館。美術館にある喫茶室では、マイセンの素敵なカップにいれたコーヒーが飲める。窓からは町田市を一望できるのでおすすめ。

【INFORMATION】
西山美術館
https://www.2480.jp/

13:00~ 旧白洲邸 武相荘 ~食べる~

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小田急線鶴川駅から歩いて約15分、坂を登った上に、【旧白洲邸 武相荘】があります。戦後の経済復興の立役者であり、卓越した英語力と交渉術でGHQを圧倒したともいわれる実業家<白洲次郎>と、随筆家<白洲正子>夫妻の邸宅です。次郎さんは、第二次世界大戦参戦当初より日本の敗戦を見抜き、農業に従事しようと鶴川に移住を決めたといわれています。次郎さんが英国留学時に親しんだライフスタイルと、正子さんが追求した日本の美が融合しており、骨董や美術品、畑仕事の道具やバーカウンターなどが設置され、夫妻の当時の暮らしぶりを垣間見ることができきます。

武相荘園内にはミュージアムエリア内の散策路と武相荘入口から、<Restaurant & Cafe 武相荘>までつながる2本の散策路があります。自然の趣を残しながらも手入れされた散策路には、立派な竹林があり、夏になれば、山百合やヤブカンゾウ、夏水仙、冬になれば、千両や南天、本白玉など、野山に咲く四季折々の山野草や豊かな自然を楽しめます。

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武相荘内にある<Restaurant & Cafe 武相荘>は、もともとは農家の納屋を改修してつくった次郎さんの工作室と子ども部屋であり、現在は1階部分の天井を取り去り、2階部分と空間をつなげ、天井高を高くした解放感溢れる店内になっています。次郎さんのお手製のランプや正子さんがアフリカから持ち帰った布などが飾られ、ふたりの趣味が伺えます。

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人気メニューは、海老カレー。白洲家のレシピで作られたカレーなのだそう。じっくり煮込まれた野菜にゴロゴロと入った大きなえびが入ったカレーは、辛さ控えめで素材のうまみがたっぷり。都内とは思えない自然溢れる空間で癒しの時間をお楽しみください。

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キッズボイス
大きな車がかっこよかった。次郎さんが17歳のときにおじいさんからもらった車と聞いてびっくり!

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ママボイス
自分を信じるままに理想を追い求めた白洲正子さんが、一目ぼれして結婚した白洲次郎さんと暮らした家というだけで何だか感慨深い。正子さんは工芸品にも造詣が深いので、1つ1つのオブジェも素敵。美意識を感じる。

【INFORMATION】
旧白洲邸 武相荘
https://www.buaiso.com/

14:00~ まちだリス園 ~遊ぶ~

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小田急線町田駅北口の21番バス乗り場より「本町田経由野津田車庫行(55系統)」、または「鶴川駅行(53系統)」の路線バスに乗ること約20分の停留所「薬師池」で下車し、歩いて1分のところに、リスやモルモットと触れ合える【まちだリス園】があります。1988年に"障がいのある子供達に働く場を設けたい"との親御さんの切実な願いに町田市が応えオープンした施設です。これまでにない動物園の仕事を創造しよう!との思いから作られました。

こじんまりとした園内の放飼場には、約200匹のタイワンリスが放し飼いされています。ひまわりの種を購入してタイワンリスに直接エサをあげて触れ合えることのできるめずしい動物園です。
近年では外国人旅行客からの人気も高く、<癒しの動物園>と話題になっているのだとか。

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タイワンリスの放飼場に入ると、厚手のミトンを手渡されます。ミトンの上に、エサを乗せると、リスがエサを目当てにぴょこんと乗ってきてくれるので、食べる様子を間近で観察できます。手を合わせてこする、まるでおねだりされているかのようなかわいい仕草を見られることも。

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園内には、タイワンリス以外にもリクガメや、ウサギ、モルモットが飼育されており、土日祝日限定のイベントとしてモルモットに触れ合える「モルモットとなかよしタッチ」も行われています。モルモットを膝の上に乗せてなでたり、餌をあげることができるイベントで、モルモットの特徴についても学べます。各回、先着15名までとなっていますので、チケットの取得を忘れないようにしましょう。
また、閉園の30分前に始まるモルモットの大行進は大変人気で、かわいいモルモットたちの歩く様子を一目見ようとお客さんたちが並びます。100匹以上のモルモットたちが、ゲージである寝床へ一列になって橋をトコトコと渡る姿はかわいく、大変癒されます。ぜひ、閉園前の大行進を見逃さないようにしましょう。

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キッズボイス
リスの巣箱を作ったよ。絵をかいたり色をぬったりしてかわいい巣箱ができた!作った巣箱で寝てくれるとうれしいな。

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ママボイス
手作り感あふれる素朴な園内にも癒される。出口にはショップがあり、オリジナルのメモ帳やぬいぐるみも販売されていてかわいい。子どもも楽しんでいた。

【INFORMATION】
まちだリス園
https://www.machida-risuen.com/

15:30~ 町田ダリア園 ~見る~

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町田リス園より歩いて約20分のところに、約500品種もの色とりどりのダリアが見られる【ダリア園】があります。町田ダリア園も 町田リス園と同様に、障がいのある方たちの働く場として設置されました。

約15,000平方メートルの園内には、約500品種 4000株ものダリアが栽培されています。ダリアは初夏から秋にかけて咲く花で、 町田ダリア園の開園時期は6月末~11月上旬ごろまでと期間限定でオープンします。

ダリアはたくさんの花びらが重なりあった豪華な花で、さまざまな美しさを楽しませてくれます。ダリア独特の花色でもある1つの花に2色の色を楽しめる<2色咲き>や、斑点やストライプが入った<絞り咲き>、花の大きさが30センチを超える巨大輪から3センチほどのポンポン咲きのダリアまで、多種多様なダリアを一堂に鑑賞できます。

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園内には噴水の周りを囲うようにして、下段、中段、上段と放射線状に広がるダリアの花壇が設置されています。傾斜を利用した花壇に入れば、ダリア畑に包まれているかのような気分が味わえます。ダリアを至近距離でじっくりと眺められるうえに、赤や黄色、淡いピンク色など、多種多様なダリアが揃っており、時期をずらせば新たな品種に出会えるため、開催期間中は何度も訪れたくなると評判です。売店ではソフトクリームやコーヒーも販売されているので、涼みながらゆっくりと鑑賞をお楽しみください。

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キッズボイス
自分の顔よりも大きなダリアにびっくりした。ソフトクリームがおいしかった!

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ママボイス
ビビットな紫や、淡い黄色など本当に種類が多くて飽きない。黄色は黄色でも、花によって黄色みが異なる。こんなにも種類があるのかと驚いた。

【INFORMATION】
ダリア園
http://www.dahlia-machida.com/


株式会社ナックを創業した町田市で開館された西山美術館、日本の敗戦を見抜き農業に従事しようと白洲次郎が移住した武相荘、障がいのある人たちに雇用の場を作るためにオープンした町田リス園と町田ダリア園。
それぞれの施設の歴史を紐解いていくと、現在の町田市がどのように形作られてきたかを感じられます。それぞれの施設を楽しみながら、ぜひ町田市の魅力を感じてみてください。

取材・文/加賀美明子(Neem Tree)

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