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vol.16 懐かしい時代へタイムトリップ 花見の名所・小金井公園周辺へ

 
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小金井市には都内トップクラスの広さを誇る「都立小金井公園」があります。
その広大な敷地には、江戸東京たてもの園をはじめ、ソリゲレンデやふわふわドーム、蒸気機関車展示場、宿根草園に弓道場まで、小さな子どもから大人まで楽しめる施設がいっぱい。
お花見の名所でもあり、さくら名所100選に選ばれたことも。
園内いっぱいに広がる春うららを楽しみながら、思い思いの一日を楽しみましょう。

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10:00~ 江戸東京たてもの園 ~見る~

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都立小金井公園の正門口から入って左手にある「江戸東京たてもの園」は、現地での保存が難しい文化的価値の高い建造物を移築し、復元・保存、さらに展示している野外博物館です。
名前の通り、江戸時代から昭和に造られた30もの建物を見学できます。
東京の歴史を振り返ると、震災や戦災などで多くの貴重な建造物が失われました。
波乱の時代を経てもなお、崩壊することなく実存する建物が移築・復元され、街を歩き観光するように見学ができる。それが、この施設の醍醐味です。

西ゾーン、センターゾーン、東ゾーンと3つのゾーンに分かれており、東ゾーンで、ぜひお子さんと一緒に楽しみたい場所が「下町中通り」と「武居三省堂」。
映画『千と千尋の神隠し』にインスピレーションを与えた建物として、ジブリスタジオが公式で発表しています。

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「下町中通り」は、千と千尋の神隠しの主人公「千尋」が冒頭で迷い込んだ、あの懐かしくも妖しい不思議な街のモデルになっています。
通りには昭和に建てられたお店が集まり、昭和の下町商店街がそのまま再現されたかのよう。
大正時代から港区白金で営業していた「小寺醤油店」や、屋根の中央部分が丸みを帯びている大型の唐破風(からはふ)のある銭湯「子宝湯」など、実際に使用された建物の、色濃く光沢が増した木材や青緑色に変化した銅の色調から、経年変化の美を感じます。

通りで一番古い鍵屋(かぎや)は、約170年もの年月を重ねています。
関東大震災、第二次世界大戦など多くの危機を乗り越えた建物を目の当たりにすると、過ぎ去った時代に思いが巡り、何とも言えない畏敬の念を抱くことでしょう。

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中ごろにある「武居三省堂」は、千尋が尋ねたボイラー室のモデルになっています。
店内左手には、飴色に艶が増した重厚感ある引き出しがびっしり。
劇場での「窯爺が蜘のような姿で巧みに引き出しから薬草を取り出すシーン」が蘇ります。
映画と重ねて、お子さんと楽しみながらまわりたいですね。

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西ゾ-ンには、1910年(明治43)年ころ建てられたかわいらしい洋館「デ・ラランデ邸」があります。
邸内には、カフェ「武蔵野茶房」が営業し、銀のお盆に乗せられたハヤシライスやデザートなどを提供しています。
落ち着きのあるボタニカル柄の壁紙やシャンデリアが装飾され、他の建造物とは趣が異なり、洋館として見所の一つとなっています。
これまで見た建物の数々を思い出しながら、惹かれた風景について親子で話し合うのもいいですね。

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キッズボイス
芋虫みたいにかわいいマスコットキャラ"えどまる"は、宮崎駿監督が作ったんだって!

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パパボイス
観覧料400円で、こんなにも多種多様な建造物を見られるのは大変貴重。
それぞれのインテリアも趣があって、見応えがたっぷり!

【INFORMATION】
江戸東京たてもの園
https://www.tatemonoen.jp/

11:30~ かぶとパン・かぶとめし ~食べる~

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江戸東京たてもの園から正門口に向かって進んだ先、弓道場裏に店を構える「かぶとパン・かぶとめし」では、フォカッチャやパン、スコーン、お弁当などを販売しています。

お店のある場所は、住宅街。
のどかで穏やかな春の日差しの中、のんびりとお買い物を楽しむことができます。
フォカッチャとは、バターの代わりにオリーブオイルを使ったイタリアのパンのこと。

「白米に何をのせたらおいしいかな?と考えるように、フォカッチャに何をのせたら楽しんでもらえるかな?と、いつも考えています。毎日、6〜7種類の日替わりフォカッチャを焼きます。たまに行き過ぎた物を作ってしまったかな?と思うこともありますが、喜んでくださる方もいらっしゃいます。」
と、店主の佐藤嘉太(かぶと)さん。

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写真は「ブロッコリー、パプリカ、ベーコンのフォカッチャ」。
定番のフォカッチャだけではなく「キノコどっさり、オイルサーディンのフォカッチャ」や「いちごミルクのフォカッチャ」など、季節の野菜を使った具だくさんフォカッチャやスイーツフォカッチャまで多彩なラインナップが楽しめます。

ある日の「坊さんの気絶フォカッチャ」というインパクトあるネーミングのフォカッチャは、パトゥルジャン・イマム・バユルドゥ=坊さんの気絶、つまりお坊さんが気絶するくらいおいしいという意味が込められたトルコ料理に発想を得て作られたそう。
素揚げしたなすとトマト・オリーブ・玉ねぎ・クミン・各種香辛料を刻んで作った具材をフォカッチャに乗せてオーブンで焼きました。
初めて作ったときはやりすぎたかな?と思ったそうですが、リピーターが続出するほどの人気商品に。
店主が趣向をこらして作る食材の組み合わせは、「どんな味なんだろう?」と、口に運ぶまでの時間も楽しませてくれます。

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しっかり食べたいパパには、お弁当もおすすめ。
和、洋、中と日替わりで味が楽しめ、お値段も「730円」とリーズナブルです。
晴れた土日の11時には、人気のクリームパンやあんぱんが売り切れ、続いてフォカッチャの品切れも始まるそう。お弁当は12時半過ぎには売り切れてしまうことも。
午前中のうちにお店を訪れるか、事前に取り置きを予約しておくのもおすすめです。

ここ都立小金井公園近くに店を構えている楽しみについて店主の佐藤さんは、
「江戸東京たてもの園前の堀に氷が張るのを見て、冬の厳しい寒さを感じるように、園内の木々や草花、鳥、虫たちから、季節の移り変わりを肌で感じています。都会でも田舎でも無い小金井の自然に抱かれて、心穏やかに過ごすひととき。そんな時間を彩る添え物として「楽しいもの」を作っていきたいと考えています」
と話してくださいました。

食べる瞬間の情景に思いを込めて作られた料理と一緒に、色とりどりの風景もぜひお楽しみください。

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ママボイス
初めて訪れたときは、"こんな場所にパン屋があったなんて!"とびっくり。
かわいらしい外観で、見つけた時は嬉しかった。
パンの原材料が書かれ、地元野菜を使っているところも安心できる

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キッズボイス
夏には、カキ氷もおいしいよ!

【INFORMATION】
かぶとパン・かぶとめし
https://kabutopan-meshi.storeinfo.jp/

13:00~ 都立小金井公園 ~花見~

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都立小金井公園は約80ヘクタールもの広さの中に、ヤマザクラをはじめ、ソメイヨシノ、オオシマザクラなど約50種、約1400本もの桜が植えられています。
桜の種類が多く、長い期間お花見を楽しめるのが特長です。

「小金井公園と街をつなぐ 桜めぐりマップ」より、園内おすすめの5つ見どころをご紹介します。

【桜の園】

正面玄関左に位置する広場。約2.8万㎡に300本以上の桜が咲きます。ヤマザクラを中心に約40種類の桜が植えられています。
★見頃...3月上旬ごろから4月下旬ごろ

【たてもの園前広場】

江戸東京たてもの園の前の広場。ソメイヨシノを中心に、約150本もの桜が咲きます。
★見頃...4月上旬ごろ

【北口の枝垂桜】

北口から入ると左右の園路沿いに枝垂桜の並木があります。
★見頃...4月上旬ごろ

【ゆりの木広場の大島桜】

東口側に位置するゆりの木広場。枝張りが約20mあり、関東一大きいオオシマザクラといわれています。
★見頃...4月中旬ごろ

【桜の標本木】

正門口、サービスセンター前。こちらのソメイヨシノが咲くと、小金井公園では開花宣言を行います。
★見頃...4月上旬ごろ

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園内には、大型アスレチックのある「わんぱく広場」や人工芝のゲレンデを滑る「ソリゲレンデ」、「蒸気機関車展示場」など、お子さんが遊べる施設がたくさんあるので楽しみながら回るのもおすすめです。

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キッズボイス
桜を見ていたら、江戸東京たてもの園の池の前で大きな亀を見つけた。
つつじ山広場のふわふわドームが楽しかった!

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パパボイス
野球場やテニスコート、弓道場までたくさんの運動施設があります。
次はこちらも利用したい

【INFORMATION】
都立小金井公園
https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index050.html

16:00~ 庚申湯 ~浸かる~ 

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都立小金井公園から田無駅方面に歩くこと10分、現代ではめずらしい宮造りの銭湯「庚申湯」が見えてきます。
宮造りとは、神殿や神社などの建物の造りのこと。
庚申湯には、東京江戸たてもの園の「子宝湯」と同じ、唐破風(からはふ)の屋根、織上げ各天井があり、格式の高い造りになっています。
大正12年の関東大震災で、東京の銭湯のほとんどが倒壊してしまったといわれています。
関東大震災で悲劇に見舞われた人々を元気づけるために、宮大工の技術を持つ職人が腕をふるったことが始まりで、このような姿が流行したと言われています。

そんな古き良き佇まいを残しつつも、大きな窓を設けロビーを明るく開放的に、さらに湯あがり後の休憩室や番台の代わりにフロントを設けるなど、現代にマッチした使い勝手を良くする改装も行っています。
「庚申湯のコンセプトは"癒しとくつろぎの空間"。幅広い世代の方に楽しんでいただけるよう、明るく清潔で気持ちよく過ごせる場所づくりを行っています。そのため、日々の清掃は丁寧に行い、施設整備等のメンテナンスは早めに行うよう心掛けています。」
と店主の新井さん。

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館内には、「富士の湯」と「絹の湯」の2つのお風呂があります。
男湯と女湯が1週間ごとに入れ替わり、週替わりのお風呂が楽しめます。富士の湯には、日本で三人しかいないペンキ絵師の一人である、女性銭湯背景画絵師・田中みずき氏の富士山が描かれ、眺めているだけで一日遊んだ疲れが取れそうです。
「絹の湯」は、"超微細気泡"と言われる細かな泡がお湯に溶けた柔らかな湯質が人気です。

江戸東京たてもの園の子宝湯に描かれたペンキ絵も富士山。
同じく昭和に建設された銭湯で、入浴しながら富士山を楽しめるのはうれしいものです。
歩き疲れた足をゆっくり伸ばして、心身ともにおくつろぎください。

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キッズボイス
ペンキ絵の中に、こっそりアマビエが隠れていた

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ママボイス
夜でも店内が明るく、隅々まで掃除の行き届いた清潔な銭湯。
駐車場が14台もあるのが、子連れにはうれしい

【INFORMATION】
庚申湯
http://www.koushin-yu.com/


都立小金井公園の側にある玉川上水堤の桜並木は、「名勝小金井桜」と呼ばれ長く親しまれてきました。
小金井市は古くからお花見の名所で知られ、市章には桜が刻まれるほど。都立小金井公園だけではなく、近くにある野川の散歩道や武蔵野公園の桜もみごとです。
この機会に足を伸ばして、さまざまな春の到来を楽しみましょう。

取材・文/加賀美明子(Neem Tree)

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