くらし Share

サッカー選手に聞いた! 運動会 かけっこで速く走るためには?

 

kakekko1.JPG

ⒸTOKYO VERDY

5月といえば、秋と並んで、小学校の運動会シーズンです。「今年こそリレーの選手に選ばれたい!」「かけっこで1位をとりたい!」と思っているお子さんも多いのでは?
そこで今回は、東京都をホームタウンとするサッカーJリーグチーム「東京ヴェルディ」のルーキー・FW河村慶人選手に速く走るためのコツや、効果的な練習方法についてお聞きしました。

速く走るために大切な3つのポイント

kakekko2.jpg

サッカーでスピードが最も重視されるポジション、FW(フォワード)を務める河村選手に、速く走るために意識したいポイントを教えてもらいました。

Point1 転倒することを恐れず、全力を出す

「転ぶことが恥ずかしいと思っていると、心だけでなく、スピードにもブレーキがかかりがちです。まずはそこを恐れずに全力で走ることを意識すると、最大限のパワーを出せると思います」

Point2 スタートダッシュを心がける

「スタートの合図の音が鳴った瞬間にどれだけ速く反応できるかが、重要です。周囲の音は気にせずに、合図の音に集中しましょう。スタンディングスタートのスタートダッシュのときのフォームは、前屈みが基本です。初めから体勢を起こしていると、スピードが出ません。5~10m進んだあたりから徐々に体を起こしていくと足を引き上げやすくなり、うまくスピードに乗ることができます。また、スタート時の視線は足元の3歩先に置くのがベスト。ゴールや遠くに視線を置くとフライングしてしまう恐れがあるので、合図の音に集中するためにも、足元の3歩先を意識しましょう」

Point3 最後まで走り切る

「序盤では自分が2位や3位であっても、力を抜かずに走り切る気持ちで臨めば、前を走る人が転倒した場合、1位になるかもしれません。かけっこでも、僕らサッカーの試合でも、最後まで何が起こるかはわからない。相手が転倒したことによって自分が1位になったとしても結果は1位なので、最後まであきらめずに走り切るということが大事です」

グングン速くなる! かけっこの練習方法

kakekko3.jpg

走ることは、ほとんどのスポーツで必要になってくるため、運動会前のみならず、需要のある「かけっこ教室」。ここでは、かけっこ教室に行かなくても速くなる方法を5つのステップで教えてもらいました。

かけっこの練習の流れ

①スタートダッシュ
②腕振り
③足のつき方
④基本姿勢
⑤ゴール

①スタートダッシュ

「まずは、『よーい、パン!』と手を鳴らしてあげて、スタートの合図に反応して飛び出す練習から行います。音が鳴るタイミングでスタートできればベストですが、鳴らして1秒程でスタートすればクリア。まずは1秒で飛び出すことを目指してください」

②腕振り

「腕の振り方も速さに大きな影響を与えます。僕自身、子どもの頃に腕を少し横に振ってしまう癖がありました。横に振ってしまうと風の抵抗を受けやすくなってしまうので、真っ直ぐに腕を振る練習をしましょう。脇は少し締める程度に。しっかり締めてしまうと、肩に力が入りスピードが落ちてしまうためです。腕をぶんぶん振った方が速く走れると思われている方もいらっしゃいますが、実際は、腕の回転はピッチ(足の回転数)に自然とついてくるものなので、無理に速く腕を振ろうと思う必要はありません」

③足のつき方

「つま先から足をつく練習をしましょう。かかとから地面についてしまうと、ブレーキがかかってしまいます。足を切り替えるスピードを速くするために、足をつくときに地面と接している部分は、指の付け根くらいにしたいですね。足を切り替える瞬間に、つま先で素早く反動をつけながら地面を蹴り上げるようなイメージで走ると、ピッチが速くなります」

④基本姿勢

「スタートダッシュの、前屈みの姿勢から5~10m進んだあたりで徐々に体を起こし、視線をゴールに向けていく練習をしましょう。最初は体を起こすタイミングで合図を送ってあげて、慣れてきたら自分の感覚で起こしていくという練習をするといいですね」

⑤ゴール

「ゴール手前で力を抜いてしまうお子さんがいます。ゴール手前でスピードが落ちるということは、その前からスピードが徐々に落ちているはずなので、100%の力を出し切れておらず、とてももったいないです。そこで、本来のゴールよりも少し先に自分だけのゴールを設定して、そこまで走り切る練習をしましょう。本番も、ゴールテープより少し先に目標を定め、とにかくそこまで全力で走る。すると、スピードを保ちながらゴールできると思います」

kakekko4.jpg

教えて!河村選手 かけっこのお悩みQ&A

続いて、よくあるかけっこのお悩みについて答えていただきました。

Q.コーナーで転ばないようにするには、どうしたらよいのでしょうか。

A.
「視線を10mくらい先に置きながら体を少し内側に倒すようにして走りましょう。そして、転倒することを恐れないことも大切です」

Q.頭を振って走るクセがあります。

A.
「体のバランスが崩れてしまうので、頭は固定したいですね。前を向き、ゴールを見ながら走ることを意識してみてください」

Q.息子の走り方に変なクセがついているのですが、指摘しても直りません。

A.
「おそらくお子さんとしては、今の走り方が一番早いと思っているのではないでしょうか。自分より速い人、例えば陸上100m走の選手が走っている動画などを見せて、イメージを共有するのはどうでしょう。フォームや腕の振り方などは、視覚の方が伝わりやすい場合もあります」

Q.河村選手は子どもの頃、かけっこが速くなる練習はしていましたか。

A.
「小学生の頃は、友達と日常的にかけっこや鬼ごっこをして遊んでいました。練習をしているつもりはありませんでしたが、結果的に遊びを通して、足が早くなったと思います。中学生以降になると、アスリートの体づくりを意識して、筋力トレーニングをしていました。よく、坂道ダッシュをしていましたね。キツいですが、瞬発力も筋力もつきます」

河村選手からメッセージ

最後に、河村慶人選手から『たまちっぷす』をお読みのみなさんにメッセージをいただきました。ぜひ、お子さんにお伝えください。

「自分を信じることが一番大切だと思っています。自分を信じて、自分の持っている最大限の力を出せば、必ずいい結果につながると思うので、『自分にはできる!』という気持ちでゴールまで走り抜けてください。僕は今年一年目ですが、そんなことは関係なく、自分の持っている力を最大限出して、今年の目標である「J1昇格」を達成するためにチームに貢献していきたいと思います。一緒にがんばりましょう!」


河村選手が教えてくれた、かけっこで速く走るために大切な3つのポイント「転倒することを恐れず、全力を出す」「スタートダッシュを心がける」「最後まで走り切る」は、何か新しいチャレンジをするときなど、かけっこ以外の取り組みにも置き換えることができます。かけっこで1位をとれたらそれはうれしいけれど、かけっこの練習や運動会を通して、河村選手のメッセージにあった「自分を信じて、自分の持っている力を出す」ことの大切さをお子さんが実感できたら万々歳。期待のルーキーとともに、力強く前進していきましょう。

kakekko5-1.JPG
ⒸTOKYO VERDY

教えてくれた人

東京ヴェルディ
FW 河村慶人選手(かわむらけいと)

1999年9月11日生まれ、大阪府出身。近畿大付属高校 、日本体育大学を経て、2022年より東京ヴェルディに加入。背番号29、FWを務める。サッカー以外の特技は料理。

東京ヴェルディ公式HP:https://www.verdy.co.jp

取材・文/羽田朋美(Neem Tree)

Recommend おすすめ