「子育てがしやすい街」はどこ?子育てに関わる4項目で多摩地域をランキング!
出生率の低下は、今や日本が抱える大きな問題です。
2020年、全国での出生率は1.33、東京都ではそれを下回る1.12、そして多摩地域の市部では全国を下回る1.18です。
この数値を改善し、安心して出産と子育てができる街へと変化するために、多摩地域の各自治体がさまざまな取り組みや工夫をしています。
たましん地域経済研究所では、「子育て環境リサーチ2022」を発表しました。
そこで今回は、このレポートを元に多摩地域における各都市の保育・教育・子育て支援・住環境の4つに関する取り組みを紐解き、ランキング分けを行いました。
たましん地域経済研究所レポート 子育て環境リサーチ2022(2022年4月25日)
多摩地域に住んでいる方は、自分の住む街がランクインをしているか確認をしてみましょう。これから多摩地域への移住を考える方は、子育てがしやすそうな街探しの参考にしてみてください。
「保育・教育・子育て支援・住環境」ごとのランキング
※比較をわかりやすくするために、データは全て偏差値化したうえで各軸ごとに集計。
※瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町についてはデータが収集できない項目が多く、他の自治体との比較が難しいことから今回は調査対象から除外しています。
次の項では、各項目のランキング結果を解説します。
保育
保育サービスの充実度は、共働き世帯にとって無視できません。
<武蔵野市>
- 2020年、2021年の待機児童数ゼロ
- 「待機児童率の減少幅」も大きく、保育サービスの取り組みが充実
<福生市>
- 2020年、2021年の待機児童数ゼロ
- 市内すべての認可保育園を紹介する動画が公開
福生市内の保育園紹介動画はこちら
ちなみに、一時期大きな問題となっていた多摩地域全体における待機児童の数は、2017年前後をピークに、年々減少傾向です。
近年ではゼロに近い都市も増えており、2021年に待機児童の数が10人以下だったのは、26都市中8都市です。(武蔵野市、青梅市、福生市、東大和市、清瀬市、稲城市、羽村市、あきる野市)
教育
子どもの生活において、学びは欠かせません。学校での勉強はもちろん、体を動かすことや学童での生活も、子どもにとって成長をする機会であり、学びの環境です。
そんな学びの環境が子どもにとってより良いものであって欲しい、と考えるのは、親として自然なこと。
トップの国分寺市はとくに「その他」カテゴリーの得点が高く、中でも学童クラブの数が多いのが特徴です。同じ地区内に学童クラブを複数設置することで、学童の待機児童ゼロになっています。
<国分寺市>
- 全体的に高得点
- 学童クラブの数が多く、学童の待機児童ゼロ
<小金井市>
- 運動カテゴリーが高得点
- 「1日1時間以上運動をしている児童・生徒の割合」が高い
他にも、武蔵野市、三鷹市、調布市、小金井市、国分寺市、国立市、狛江市の7都市は、子どもの学力の面で優れています。「国立・私立・都立中学校への進学児童割合」の高さも、教育を重視するパパ・ママであれば、注目したいポイントです。
子育て支援
新型コロナウイルスの流行によって、子育てをするパパ・ママが気軽に他の親子と交流をしたり、相談をしあったりする機会が減ってしまいました。その結果、孤独や不安感を抱えながら子育てをしている方も少なくありません。
子育て支援の項目では、そんなパパ・ママを助けてくれる行政やサービスなどの充実度を調査しています。
<八王子市>
- 多摩地域の中で最も人口が多く、子どもの数も多いが、子育て支援施設やサービスも豊富
<福生市>
- 産前・産後期間内における「産前・産後サポート事業」の利用回数に上限がない
また、一定以上の所得があるパパ・ママにとって気になるのが「子ども医療費助成制度における所得制限の有無」ではないでしょうか。多摩地域内で全対象年齢に所得制限を設けていない都市は、9つあります。(八王子市、武蔵野市、青梅市、府中市、町田市、福生市、多摩市、羽村市、西東京市)。
なお、武蔵野市では、現在一般的に15歳までが対象の「子どもの医療費助成制度の上限」を、18歳に設定しています。
住環境
子育てをするにあたり、住まいの環境も大切なポイントです。交通の利便性、病院の数、公園や商業施設の数、治安など、子どもと親にとって不便がないかも重視したいです。
<多摩市>
- どの項目も点数が高く、中でも自然環境に優れている
- 「可住地面積に占める公園面積の割合」がトップ。多摩センター駅すぐの多摩中央公園をはじめ、市内に規模の大きな公園がたくさんある
<武蔵野市>
- 吉祥寺駅周辺を中心に栄えていて、買い物のしやすさが魅力ではあるものの、治安の数値はやや低め
<府中市>
- 各カテゴリーのバランスがとれていて、とくに交通の便が良い
- 府中市内には京王線の駅が6つあり、各駅間の距離が短い
他にも、福生市は市内にバランス良く駅が設置されていて、どこからでも駅までの距離が比較的近いことが、ポイントです。
さらに青梅市は「12歳以下人口1万人当たりの小児科数」が多く、病院に通う機会が多い未就学児のパパ・ママのポイントになりました。
多摩地域の未来に向けて
今回は子育てのしやすさに焦点をあてて、さまざまな指標からランキング化しました。
子どもを健やかに育てるには、家庭環境だけなく、住まいのエリアや育児・学校の状態、地域のサービスも大きく関係します。
それぞれがバランス良く整い、多摩地域全体が「子育てがしやすい街」となれば、うれしいですね。
ランキングを参考に、自身の住む街が他地域と比べてどのような環境で、どのように過ごせば良いのかを家族で話し合ったり、これから引っ越しを考えている人はどの街が良いのかを検討する参考にしてみてくださいね。
取材・文/たまちっぷす編集部 遠藤舞衣