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これからのPTAって?〜解散を選んだ小学校のPTA会長に聞きました!〜

 

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1歳から中学1年生まで、6人のお子さんのパパである吉澤康貴さんは、立川市立柏小学校のPTA会長を務めて今年で4年目。17校ある立川市立小学校PTA連合会の会長でもあります。
高糖度でありながら酸味のバランスが絶妙な「奏トマト」を生産・販売する吉澤農園を営みながら、PTA活動を行なってきた吉澤さん。
柏小学校のPTAは、来年度、解散という道を進むことになりました。
近年、共働き家庭の増加など家庭の多様化が進む中、保護者の負担が大きいとして、その存在意義が問われているPTA。吉澤さんに今後のPTAのあり方について、お話を伺いました。

活動の中で見えてきたこと

吉澤さんがPTA会長を始めたきっかけは、選考委員の方からのお誘いだったそうですね。

初めてお誘いいただいたときは一度お断りしたのですが、翌年またお声掛けをいただきました。一度PTAの本部役員をやれば以後は免除になるということで、うちは子どもの数が多いということもあり、引き受けることにしました。
最初の1年間は、PTA活動について知る1年でした。ほかの役員さんとは食事会をするなど、交流を深めていきました。2年目になって、慣習になっているものの、実際に子どもたちのためになっているのかどうか、保護者の大きな負担になっていないか......という活動が見えてきて、変えていこうという意見が出るようになり、実際に活動の縮小や仕分けに着手し始めました。

どのような活動を変えてこられたのでしょうか。

たとえば、小学校3年生で年に一度、自転車教室を行うのですが、そのお手伝いをPTAが行っていました。年に一度の教室のためだけに『自転車部』という組織を作り、係になった方は年3回の役員会にも出席しなくてはいけなかったのですが、3年生の保護者がお手伝いをする形に変更しました。
これによってPTAの負担は大きく減りました。
ほかにも、運動会の警備や自転車の整理整頓といったお手伝いをPTAが行っていましたが、シルバー人材センターの方に業務を委託することにしました。お金を払ってやってもらうのは、PTAとしてどうなのかという疑問もあったのですが、せっかくの運動会でわが子のがんばりを見逃してしまったら、残念ですからね。

PTA解散にいたるまで

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PTA解散のお話が出た経緯についてお聞かせください。

PTAはParent Teacher Association、父母と先生の会の略で、子どもたちの健やかな成長のために、家庭、学校、地域社会がお互いに協力し合ってさまざまな活動を行うとしています。
つまり、本来は誰もが平等に、自分たちのワークライフバランスの空いてる時間の中でお手伝いできるというのがあるべき姿であり、加入しなければお手伝いをしなくていいというのはどうなのかなと思っていました。
また、わざわざ会費を払って組織に属す必要があるのだろうかという疑問も持っていました。
そういった考えを、副会長さんだったり、ほかの役員さんたちと率直に話すようになったことがきっかけとなりました。

組織内から反対の声はありませんでしたか。

子どもたちのためになるイベントを行うような活動をするPTAであれば、存在意義は大きいと思いますが、現状のPTAは子どもの見守りや付き添いが中心です。もちろん見守りや付き添いは大切ですが、そのための集まりの時間を捻出することが難しい保護者は少なくありません。
何より、多くの保護者が面倒に思いながら、嫌な気持ちで活動していることが問題であり、そういった状況は変えていくべきだよね、という考えが、ほかの役員さんとも一致しました。
見守りや付き添いであれば、スクールゾーンのあり方を考えたり、シルバー人材センターの旗持ちの方の人数を増やすといった対応が可能だと思っています。その件については、今後、立川市とも協議していきます。

柏小学校ではPTAの存続について保護者にアンケートを取られたそうですね。

はい。97%の保護者にPTA解散に賛成と言っていただきました。アンケート結果をご覧になった校長先生にもご理解いただき、解散の運びとなりました。立川市内ですと、若葉台小学校や第十小学校もPTAを解散しましたが、サポーターズ制度など、PTAに変わる組織は残っています。
私たちの柏小学校では、何の組織も残さない方向で進めました。

吉澤さんが考える、PTAの今後

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柏小学校ではPTAがなくなったことで、今後どうなるのでしょうか。

基本的に保護者は横一線、みんながいつでもお手伝いができる状態ということになります。組織はありませんが、学校から要請があれば、お手伝いに参加できる人は参加するという流れになっていくと思います。
"やらされている"ではなく、"必要だからやる"という考えで保護者が動いていくという、理想の形になっていけばいいと思います。

今年に入って、旅行会社にPTA業務を外部委託できるサービスが話題になりました。

新しい取り組みだなとは思っていますが、義務教育である子どもたちのことに対してお金を払ってほかの人に運営をしてもらうということが必要なのかどうかの前に、そもそもPTAが必要なのかどうかということを各学校でまず話し合ってもらいたい、というのが、私の個人的な意見です。

今後はどのように子どもたちと関わっていきたいですか。

私自身は地元に根差した農家でもありますので、ここから動くこともないですし、地域の中から子どもたちを見守っていきたいと思っています。
小学2年生の町探検でトマト農園への受け入れをさせてもらっていますが、そうした関わりの中で子どもたちと顔見知りになれることは大きいですね。
私はいつもこの周りで働いていますから、子どもたちとすれ違ったときに、"おはよう""おかえり"と声掛けすることができます。そんなふうに、地域の中でできる関わりを続けていきたいと思います。


吉澤さんのお話を伺って、本来のPTAのあり方を考えさせられました。
「誰かが自己犠牲の気持ちや不平等感を感じながら活動するのではなく、自分たちのワークライフバランスの中で、無理なく子どもたちを見守っていく」そんなあり方の先に、子どもたちの健やかな未来が広がっていくのではないでしょうか。
"地域社会の中で子どもを育む"という視点が、鍵になりそうです。

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教えてくれた人

立川市立小学校PTA連合会会長

/立川市立柏小学校PTA会長
/株式会社吉澤農園 代表取締役

吉澤康貴さん

立川市でミニトマト農家を営む。四男二女の父。4年前から立川市立柏原小学校のPTA会長になる。

取材・文/羽田朋美(Neem Tree)  撮影/小山志麻

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