「やらせる」より、「やる気にさせよう!」子どもの宿題~5つの攻略法~
新1年生は宿題がはじまったり、2年生以上は宿題の量が増えたりと、新学期はなかなかぺースがつかめず、宿題を後回しにしてしまうお子さんも多いことでしょう。
宿題は全員に出される提出物です。
「必ずさせなくては!」と、毎日の提出が目的になってしまうと、親も子もつらい作業に。
「やる気」を引き出すにはどうしたらよいかを考えていきましょう。
そもそも宿題をやる意味って?
「なぜ、宿題をやらなくてはいけないの?」 そんな質問をお子さんから投げかけられたパパやママも少なくないのでは? 小学校から高校まで、12年もの長い期間、向かうことになる宿題には、いったいどんな目的があるのでしょう?
宿題の〈目的〉は...
〇基礎学力を確実に定着させるため
〇家庭学習の習慣を身につけさせるため
と言われています。
「家で学校の宿題をしている」や「授業の復習をしている」と回答した児童生徒ほど、基礎学力が定着している傾向があるという調査があります。
授業で習ったことが、その場で理解できたとしても、時間が経てば忘れてしまいます。
学校で習ったことを定着させるためには、授業だけで終わらせるのではなく、家庭で繰り返し反復することが必要です。
また、子どもたちは、将来自分で学ぶ「自主学習」の力が必要になります。
その基礎作りとして、「ふだんから机に向かう習慣」をつけておくことが大切です。
小学生の家庭学習時間は、「学年×10分」が目安と言われています。家庭学習の質や量をみながら、徐々に増やしていけるとよいでしょう。
子どもの「やる気」を引き出す 5つの方法
子どもは、本来「自ら学びたい!」という欲求を持っています。
そのやる気を、どうやって引き出すか。5つの方法をご紹介します。
1.「下準備」をしよう!
子どもは小さなことでやる気になったり、やる気を損なったりします。
まずは、宿題をすぐに始められる学習環境を整えましょう。
<チェックポイント>
□机の上は、きれいに整頓されている?
□鉛筆、ノート、消しゴム、辞典など、必要なものは揃っている?
□テレビやゲームなど、気が散るものは周りにない?
2.「きっかけ」を決めよう!
帰宅後に、行っていることを「きっかけ」にすることで、毎日のルーティンに自然に宿題を組み込むことができます。
例えば、「おやつ後」「夕食後」「寝る前」など、お子さんに合わせて、どのタイミングならさっと始められるか、お子さんと相談しながら試すとよいでしょう。
効率よくすすめられるタイミングを見極めるのが、ポイントです。
3.親の声かけで、「エンジン」をかけよう!
漢字ドリルに、算数プリント、音読など、いくつもの宿題は、お子さんによっては、大きな山に思えて「何から手をつけて良いかわからない...」と感じることもあるでしょう。
そんな不安な気持ちを、ママやパパの声かけで「これなら、できそう!」に、変換させてあげましょう。
ポイントは、宿題を「スモールステップ(目標までの過程を短く区切り、かんたんにはじめられるようにすること)」にすること。
なかなか進まないときには、机の横に座って、進め方をアドバイスしてあげましょう。
【「これなら、できそう!」を引きだす声かけ方法】
□「どれから、始める?簡単なものから始めてみよう!」
まず、全体を一緒に把握し、どれならできそうか聞いてみましょう。
「まずは、2行だけ読んでみようか!」でも大丈夫。
とりかかり始めることが大切です。
□「10分、取り組んでみようか!」「計算ドリルは15分で終わらせよう!」
内容ではなく、時間で区切ってみるのもおすすめ。
タイマーを導入して「見える化」することで、ぎゅっと集中できます。
また、時間を意識することで、ゲーム感覚で取り組めるというメリットも。
だらだらと時間をかけるのを防ぎ、集中すれば早く終わる!、ということも実感できます。
□「一緒に問題を読んでみようか!調べてみようか!」
心理的ハードルを小さくするのも一つの方法です。
一人よりも誰かと一緒なら、できそう!と思えることがポイント。
長い文章を読んだり、調べることが億劫なお子さんもいます。
出だしの問題を一緒に読んだり、一緒に調べたりすることで、とりかかりのハードルを下げます。
調べ方を知ることで、徐々に自分でできるようになります。
4.「スモールステップ」を褒めよう!
「宿題を終わらせる」という目標にほど遠いとしても、まずは宿題を始めたことを褒めてあげましょう。
宿題の鉛筆を用意した、椅子に座った、わからないけど考えている、など、褒められることがやる気につながります。
5.質問や丸付けに、すぐ対応しよう!
「わからない漢字がある」「問題の意味が分からない」など、解決方法が分からず、作業が止まってしまうのは避けたいものです。
わからないと、宿題は「めんどくさいもの」というイメージが付いてしまいます。
わからなくても「解決できる!」と思えることがポイント。
また、パパやママの丸付けなどを通して、「宿題できたね!」と肯定してあげることも、子どものやる気を引き出します。
みんなの家庭はどうしている?
先輩パパ&ママの子どものやる気を引きだす方法
最初はまったくできなかったけれど、あの手、この手で働きかけてみたら、段々とできるようになった!
そんな、パパやママたちが行った工夫をご紹介します。
朝学校に行くときには揃っていた鉛筆が、家に帰ったときには1本しかない。
そんな落ち着きのない息子。
宿題を始める前に、あれがない!これがない!と、進めるたびに、作業が中断する。
そのため「宿題をしなさい!」ではなく、私(ママ)が宿題の準備も手伝って、なるべく始めるまでのハードルを小さくし、中断しない工夫をしたら、徐々に落ち着いて取り組めるようになった。(小1のママ)
うちは宿題やったの?と聞くと、やってないのにやったと、なぜかすぐにばれる嘘をつく息子です。
先輩ママから、男の子は何でも褒めて乗せるのが大事!とアドバイスをもらい、椅子に座ったら褒める!やり始めたら褒める!7割正解でも正解を褒める!とにかくほめています。最近では、自信がついたようで少しずつできるようになった。(小2のママ)
子どもが興味を持てるよう、実生活に結び付けて、説明をした。
表とグラフの時には、私が(パパ)が仕事で実際に作った表を見せ、表にする分かりやすさを教えた。
パパは、こんな表を作って失敗したなど、おもしろおかしく話した。
勉強って、役に立つんだと思えたことがよかったと思う。(小6、小2のパパ)
小学5年生になって、急に文章問題が分からない。
やりたくない!と拒否するように。試しに一緒に宿題を説くと、1㎞=1000mを忘れている。
これは小学3年生で習う単元。
5年生にもなると、これまで習ったことの総仕上げに入るので、とても焦った。
小学6年間で学ぶ算数の単元一覧表を印刷し、壁に貼り、理解できたらマーカーで塗りつぶすを繰り返した。
自分の状況が分かったこと、マーカーを引いたことで、コンプリートしたい!欲にも火が付いて、めげずに頑張っていた。(小5のパパ)
息子は、一回15分しか集中できないので、時間で区切って宿題をやっている。
この時のポイントは、キッチンタイマーを導入して15分きっちり集中させること。
これがないと、だらだらやって、15分を何度も繰り返さなくてはならない。
最初は、15分で1枚のプリントしか終わらなかったが、今では集中力が上がり、20分×1回で宿題が終わるようになった。(小4、小2のママ)
「どこから始めたらいいのかがわからない」のか、「やらされ感が強くてやる気が出ない」のか、「わからない」のか、宿題ができないときの、つまづきポイントは、子どもによってさまざまです。
大切なのは、お子さんにあった方法で子どものやる気を引きだすこと。
つまずきを克服できれば、できた!という達成感で、面倒な宿題も楽しいものに変わります。
試行錯誤の末、段々宿題が定着してきた!そんな時には、宿題を習慣化するための「ルール」を親子で考えてみるのもいいですね。
まずは、お子さんの宿題の様子を観察することから始めてみましょう。
取材・文/加賀美明子(Neem Tree)