雨の日こそ!おうち遊びで子どもの非認知能力を育もう!
梅雨に入り、朝からしとしとふり続ける雨。外遊びができない子どもたちは、気づいたら動画やゲームばかり......なんてご家庭は、少なくないでしょう。
でも、せっかくの休日なのになんだかもったいないですよね。
実は、親子で過ごす時間がたっぷりある雨の日だからこそ、グングン伸ばせる子どもの能力があるのです。
それは、子どもの将来にとても役に立つと言われる非認知能力。
雨の日は、親子で遊びを通して非認知能力を育んでみませんか。
目標に向かって粘り強く取り組む力
非認知能力とは?
非認知能力とは、読み・書き・計算と言われる、いわゆるテストやIQなどで数値化できる能力ではなく、自己肯定感や感情をコントロールする力のこと。
粘り強くやり抜く力、想像力、コミュニケーション能力など、人生のさまざまな場面で強い味方となる、数値化できない能力でもあります。
文部科学省では、非認知能力を以下の通り、意欲・意志・情動・社会性に関わる3つの要素からなると説いています。
①自分の目標を目指して粘り強く取り組む力
②そのためにやり方を調整し工夫する力
③友達と同じ目標に向けて協力し合う力
非認知能力を世界で初めて提唱したのが、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・j・ヘックマン博士。
大人になってからの幸福や経済的安定には、「認知能力(IQ)」の優劣よりも、 幼少期に「非認知能力」を身につけているかどうかが大きく影響することを調査によって明らかにしました。
粘り強く諦めない、困難に立ち向かっていく力。その強さを支えているのが、非認知能力なのです。非認知能力は、人生の充実度を支える力とも言われています。
親の関わり方でグングン伸びる!
非認知能力を育てる上で大切なこと
子どもは遊びが仕事と言われるように、ただ遊ぶだけで「表現力」「想像力」「考える力」など、さまざまな非認知能力が育まれています。
さらに、その遊びに親の働きかけがあれば、非認知能力を引き出し、大きく育てることができます。
逆に一緒に遊ぶ親の関わり方が間違っていれば、非認知能力を引き出すどころか、やる気の芽も摘んでしまうことも。
大人はどのように関わっていけばよいのでしょうか。
【親の関わりで大切な"3つ"のこと】
1.子どもを認める言葉をかける
できたね!やったね!と、肯定的な言葉をかけることで、子どもの承認欲求を満たし「自己肯定感」を高めます。
やる気やもっと頑張ろうという気持ちを育てます。
2. 集中できる環境を用意し、見守る
子どもがせっかく夢中になっているのに、「違うよ、こうでしょ?」「まだできないの?」など、ついつい水を差す言葉をかけてしまいがち。
でも子どもが夢中になっているのは、さまざまな非認知能力が育っている証拠です。思う存分に集中できる環境を用意し見守ってあげましょう。
3.子どもの視野を広げる言葉をかける
例えばカードゲームで遊んでいるときに、子どもの考えを受けとめた後で「こんなのはどう?」と、子どもの思いもよらない親からのアドバイスは、遊びの幅を大きく広げ、子どもの「もっと知りたい!」という学びの意欲を引き出します。
子どもといっしょに夢中になって遊ぶ!
おうちでできる 非認知能力を高める遊び5選
自分が好きなことであれば、遊んでいてうまくいかないことも「どうやってできるか?」と試行錯誤し「諦めない力」や、自分はできると感じる「自己肯定感」の育ちにつながります。
子どもの"好き"を絡めながら遊べる5つのおうち遊びをご紹介します。
想像力を育てる!ストーリークイズ
想像力とは、目には見えないものを思い浮かべる能力のこと。
想像力があれば、人の気持ちを考えられるようになったり、一つのものごとを多角的な視点で考えられるようになります。
想像する力を養うには、クイズがおすすめ。より楽しめるように、子どもの好きな漫画や絵本から出す「ストーリークイズ」をやってみましょう!
パパやママが「うさぎは旅に出たあと、どこへ行った?」「主人公の友だちはどんな気持ちだった?」など、子どもの好きな本をめくりながらお話の内容をクイズにするという簡単なもの。
子どもはお題を聞くだけで、そのシーンを瞬時に頭の中でイメージし、想像を膨らませます。 好きな本だからこそ、覚えていることもいっぱい。自信満々に得意気に答えてくれることでしょう。
ポイント
・子どもの興味関心のある話から出題すれば、子どもも夢中に。好きな本は隅々まで見ていることが多く、あえて脇役や素通りしてしまうような内容に触れるのも意外性があって盛り上がります。
・クイズは「5W1H」、「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What: 何を」「Why:なぜ」と、1つのH「How:どのように」を意識すると、作りやすくなります。
考える力を育てる!宝探し
考える力のある人は、問題が起きても情報を整理して仮説を立て、解決策を見つけることができるので、どんな困難にも負けず、立ち向かえます。
また、問題を解決した経験がある人は、 自信に満ち溢れています。
非認知能力の1つである考える力は、宝探しで育むことがきます。
宝探しでは、隠された宝物を見つけるため、隠されたものの大きさや、隠した人の性格もヒントにしながら、ここにあるかも!と考えながら、解決していきます。
子どもたちが大好きで夢中になれるうえに、さまざまな能力を使って遊ぶことができるのです。
ポイント
・家全体を使って、家の地図を使った"宝探しの地図"を用意すると、地図の見方もうまくなり 空間認知力も身に付きます。何より冒険感がアップして、わくわく感を演出できるでしょう。
・宝箱には、"ハズレ"を用意したり、"おめでとう!"などのメッセージも用意すると盛り上がります。
忍耐力、コミュニケーション能力を育てる!カードゲーム
「勝ってうれしい!」「負けて悔しい!」などの感情に向き合ったり、相手の表情を読んだり、作戦を立てたり、コミュニケーション能力や考える力など、さまざまな力が育つカードゲーム。
手始めにおすすめなのが"かるた"。
最近ではアプリを使う自動読み上げ機能がついていて、大人も一緒に遊べます。
ほかにも、好きなキャラクターに詳しくなれるトレーディングカードや、みんなでワイワイ楽しめる会話が弾むクイズ形式のカードゲーム、相手の表情を読む心理戦のカードゲームなど、さまざまな種類があるので、子どもと一緒に興味のあるものを探してみるのもいいですね。
ポイント
・子どもの成長に合わせて、ルールを柔軟にできるのもカードゲームの良さ。大人がわざと負ける必要はありません。負けたり、勝ったりすることで、さまざまな感情と向き合えます。
・大人が勝ったときには、「お父さんは〇〇したから勝てたんだよ。」と、作戦の立て方を教えてあげるのもひとつです。子どもの考える視野を広げ、「次は自分もやってみよう」とやる気を引き出すきっかけになります。
先を見通す力、学ぶ力を育てる!親子クッキング
料理は、準備や段取り、調理道具の使い方、片付けなど、さまざまな要素が組み合わさっているため、先を見通す力や、「どうして焼くと膨らむんだろう?」などの疑問が湧き、子どもの学ぶ意欲も育みます。
何より、「できた!」「おいしかった!」という達成感も味わえる楽しい作業です。
自分が作ったものを家族がおいしいと言ってくれたら、役に立てたよろこびもひとしおでしょう。
まずはホットケーキを焼くなどの簡単な調理から、レシピを読んで計量する、材料を買いに行くなど、段々とできることを増やし、発展させられるのも料理の魅力です。
ポイント
・子どもがよろこぶクッキングと言えばお菓子作りですが、材料の準備や計量まで子どもが主導で行うことで達成感が味わえます。片付けも大事な作業のひとつ。片付けの順番や洗い方などの理由を話しながら一緒に片づけられるとよいでしょう。
・食事作りには、ホットプレート料理がおすすめ。テーブルの上に材料をすべて準備して、座りながら家族みんなで囲めば会話も弾み、楽しみながら料理できます。
好奇心、探求心を育てる!なぞ解きゲーム
子どもは初めての遊びに出会うと好奇心が刺激され、挑戦してみたくなります。一度やると、次はもっとうまくやりたいという気持ちになり、「どうしたらうまくいのだろう?」と考え始めます。それが探求心です。
新しい遊びには、知らないことがたくさん。
そんな探究心を育む遊びにおすすめなのが、なぞ解きゲーム。
最近では自分が主人公に扮しながら謎を説いていく ゲームがひとつのキットになっている商品も多数販売されています。
楽しいストーリー展開に、子どもも大人も引き込まれます。探偵ものや、SFもの、パズルものなど、種類も豊富。子どもの好きなタイトルを探してみましょう。
ポイント
・なぞ解きは、仕掛けられた謎や暗号をひらめきによって解いていくゲームです。子どもによっては、つまずきやすいお題もあるため、自身で解けるようヒントを出してあげましょう。 少しのヒントでも子どもはたくさんのことをひらめきます。
・子どもは考えるとき、大人より時間がかかる場合があります。考える時間を十分にとり、急かさないようにしましょう。大人が待つことも大切です。
非認知能力をグングン伸ばすためには、大人も子どもも夢中になって遊ぶことが大切です。
大人が本気になって遊ぶ姿を見れば、子どものやる気にも火がつきます。時間や環境に邪魔されない「雨の日のおうち遊び」だからこそ、大人も子どもも自由に、ゆったりとした気持ちで楽しめるはず。家族で楽しんだ時間は一生の宝物。ぜひ、雨の日も親子で楽しむ時間を作ってみてください。
取材・文/加賀美明子(Neem Tree)