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vol.14 国際結婚ママの心豊かな暮らし

 
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三鷹市に家族6人で暮らすファミリー。
近所の川にはカワセミやサギが、田んぼに行けばザリガニやトンボが、梅雨に入る少し前にはホタルが見られる自然豊かなこの地に住むようになって6年が経ちました。

ママはシンガポール出身。国際結婚カップルであるパパとママのもとで元気いっぱいに育つ6年生のひろくん、3年生のまさくん、1年生のさっちゃんも、近所の野川での川遊びや生き物観察など、自然の中で遊ぶのが大好きです。
1歳のえみちゃんのお世話も手伝ってくれるのだとか。
ママの忙しくも幸せな日常をお届けします。

9:00 掃除/リビングの片付け

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6時30分に起床したママの1日は、朝食準備とパパのお弁当作りから始まります。
朝からにぎやかな子どもたちは、8時にパパの出発と合わせて登校。その後、身支度やえみちゃんのお世話をしながら、リビングを片付けます。

シンガポールの航空会社で客室乗務員として働いていたママがパパと結婚して、14年が経ちました。
日本語が堪能で、日本での暮らしも板についたママですが、最初は戸惑うことも多かったのだとか。

日本語の丁寧語を理解するのが大変でした。結局どういうことなのか真意がわからなくて、もっとストレートに言ってよ!と思うことが多々ありましたね。

子どもたちはバイリンガルに育てています。

私は子どもたちに英語、パパは日本語で話しかけています。
シンガポールは多民族国家で、公用語は4つあります。相手によって言語を変えるのは日常という中で暮らしてきました。
言語は暮らしの中で育まれます。子どもに英語を習得してもらいたかったら、お母さんが英語の映画を観たり英語の歌を聴いたり......そんな環境を作るところからスタートするといいと思います。

11:00 読書/ひとり時間を過ごす

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10時に近所の保育園の開放でえみちゃんを遊ばせて帰宅。
えみちゃんの朝寝の時間は、ママの貴重なフリータイムです。メールのチェックや写真の整理、余裕があるときには勉強や読書の時間に充てます。

どんなに大変な日でも、好きなことができるこの時間が楽しみになっています。自分のための1時間を過ごしてリフレッシュすると、再び元気な子どもたちとも向き合えます。

ママは、日本で子育てができて幸せだと言います。

シンガポールは家の前を大きなバスが通っていて、どこの家庭でも車の走行音が聞こえます。
ここではウグイスの声やスズムシの鳴く音が聞こえて、つくづくいい環境だなと感じますね。
経済面だと、シンガポールは国民健康保険がないので、普通の風邪で小児科を受診するだけで1万円かかります。
以前、シンガポールでBCGを接種させたら1人に2万円かかりました。経済的にも共働きでないと子育てしにくい国で、多くの女性が産後6週間で仕事に戻っていきますね。子どものいる家庭は、ほとんどが住み込みでメイドさんを雇っています。費用は6万円ほど。
さらに受験競争も激しく、小学1年生から塾通いが一般的です。塾代は1科目5万円が相場で、子どもひとり当たり月20万円の教育費をかけている家庭も少なくありません。

15:00 子どもたち帰宅/みんなでお手伝い

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小学生組が帰ってくると、家の中は一気ににぎやかモードに。
お兄ちゃんお姉ちゃんたちは、一目散でえみちゃんのところにやってきて、お世話をしてくれます。

下の子のお世話も家事のお手伝いも、誰が何をやるということは決まっていませんが、自分たちで気づいて、すすんでやってくれています。

えみちゃんの出産は、4人目にして初めての自宅出産だったそうです。

本で自宅出産のことを知り、インスパイアされて、初挑戦しました。
上の子3人は、赤ちゃんが生まれたら何を着せたいとか、いきなりハイハイはしないよねーとか、おっぱいを飲んで寝るの繰り返しだよーとか、生まれる前から想像したりして、みんなで次女の誕生を心待ちにしていました。
リビングに布団を敷いて、みんなでゴロゴロしながら"いつ生まれるの〜?"と子どもたちに聞かれて本陣痛がくるのを待っていた時間がいとおしいです。

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自宅出産のときの写真を絵本風にまとめたフォトブック。
2冊とも同じ内容で、小さい方が長女のさっちゃん用なのだとか。

年中まではプリキュアになりたいと言っていたのに、妹が産まれて"助産師さんになりたい""産婦人科の先生になりたい"と言うようになりました

21:00 パパと夕食/食後にデザートを食べる

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夕食は、子どもたちが寝た後にふたりでゆっくりとります。
「夫婦の落ち着いた会話ができて、毎日このデート時間を楽しんでいます。」と、ママ。
食事の後はふたりで食器を片付けて、デザートタイムです。

お酒は飲まないので、お菓子をつまみながら紅茶をいただきます。
夫とは翌日の子どもの習い事の予定やえみちゃんがこんなことをできるようになったよ、などと話しています。

子ども時代、海外の人が家に遊びに来るような環境で過ごし、外国暮らしも長かったパパ。
ママがデザートを口に運んでも、表情1つ変えずに食べる様子が確かにワールドワイドな印象です。

「妻には"I Love you"と日常的に言っています。
外国ではパートナーはもちろん、子どもに対しても、みんなで交わされている言葉なんですよね。」とパパ。

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休日は、電車で遠くに行くことはめったにないのだそう。

家族で出かけるときは、みんなで自転車をこいで普段行かないちょっと離れた公園に行くことが多いですね。
おでかけしない休みの日には、上の男の子ふたりは、朝から友達と公園や野川で遊んで、お昼を食べに戻ったら、また日が沈むまで外で遊びます。
長女はまだ子どもだけで遊ぶことができないので、私や夫が公園に連れて行きます。

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緑豊かな野川公園では、夏になるとカブトムシを見つけることもしばしば


ママに子育てでモットーとしていることをお聞きすると、「元気に遊んで、よく食べて、よく眠れたら完璧!」という答えが返ってきました。
わが子にはつい、いろいろな期待をかけてしまい求めることも多くなりがちですが、ママが言うように、元気でいてくれるのが一番ですよね。

そして、「日本の冬は寒くて大の苦手。たまにシンガポールで暮らしたいと思うこともあります。それでもやっぱりこの街とこの自然環境が大好きで、離れたくありません」と語るママの笑顔に、内側から満たされている人特有の輝きを感じました。

撮影/矢部ひとみ 取材・文/羽田朋美(Neem Tree)

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