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vol.16 かあちゃんのパワーの源は息子の存在

 
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ママと小学6年生のコウくんのふたりで八王子市に暮らす親子。野球が大好きでお母さん思いのコウくんと、ご自身のことを「かあちゃん」と呼ぶ、笑顔が印象的なママがこの街に住み始めて、10年が経ちました。

この春、小学校卒業という大きな節目を迎えるコウくん。おたがいを大切に思い、支え合う、強い絆で結ばれた母と子の日常を覗きました。

7:20 出勤/コウくんに見送ってもらう

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フルタイムで働くママは5時30分に起床。
身支度や洗濯、朝食準備、ご自身のお弁当作りを手際よく済ませます。その後6時30分にコウくんが起床。
一緒に朝食をとり、ママはコウくんの登校前に出勤します。

おたがいに目を合わせて"いってきます""いってらっしゃい"と言うのが日課になっています。
息子が小さい頃からあいさつは大切にしています。
外出や帰宅時のあいさつだけでなく、"ありがとう""おつかれさま"といつも声かけしていたら、息子も自然と思いやりの言葉をかけてくれたり、体調を気遣ってくれるようになりました。

18:00 帰宅/コウくんお手伝い

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帰宅はママよりコウくんが先。
ママが戻る前に晩御飯のお米を研いで炊飯器にセットするのがコウくんの役目です。

家事をお手伝いとして、息子と分担しています。
お手伝いの対価としてお小遣いを渡して、お金が貯まったらお友達と遊ぶ費用に充てたり、欲しいものを購入したりしています。

「お手伝い、楽しい?」とコウくんに聞いてみると、「最初は面倒くさいと思っていたけど、おこられるからやる。おこづかいももらえるし」と、子どもらしい答えを返してくれました。
でもその後、「かあちゃん大変だなぁーってたまに思う。自分も助けになったらってちょっと思う」とも話してくれました。

おこづかいのためにやっていると思っていたのに。今日、息子の思いを知れてよかったです。

20:00 団らん/ソファでゆったり過ごす

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夕食後は、束の間の団らんです。

"一日頑張ったな〜"と一息つきながら息子とテレビを観たり、息子と話したりして過ごす大切な時間です。
息子との会話では、興味があることを聞いて、共感することを心がけています。
学校での出来事など、ついいろいろと聞いてしまうのですが、あまりに聞きすぎて、息子から『かあちゃん、聞かないで』と言われてしまうこともあります。

「かあちゃん」という呼び方は、コウくんが小さな頃から。

「まだ息子が赤ちゃんの頃、夫とふたりで『とうちゃん・かあちゃんがいいよね』と話して、以来ずっと"かあちゃん"です。最近はふざけて"クソババア"と言ってくるんですけれど、本気で言ってきたらどうしよう。」 と、ママは笑います。

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ママがソファで新聞を読んでいると、コウくんがそっと隣に座ることも。
同じ空間でおたがいが思い思いのことをするひとときも、大切な"ふたり時間"です。

息子がそばにいてくれるだけで安心しますね。まだまだ甘えん坊なところがあると思っていたら、最近はテレビ台を一緒に組み立ててくれたりして。
『かあちゃん、こうやってやるんだよ』と、頼りになる存在に成長してくれています。ときどきケンカもしますが、おたがいに"ごめんね"を言って、翌日まで引きずらないようにしています。

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コウくんは小学1年生から学童野球に入り、6年間野球を続けてきました。
3年生頃までは、ママがノックをしてあげていたそうです。

とうちゃんの代わりをしなきゃとムキになってやっていたこともありましたが、だんだん私ではつとまらなくなってきてしまいました。
ハンドボールをやっていたので、ボールには慣れているつもりだったんですけれどね(笑)。
私がへばっているのを見て、息子はよく『かあちゃん大丈夫?無理しないでね』と言ってくれます。

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土日・祝日は、朝から晩まで練習に明け暮れていましたね。息子の学童野球の応援や練習の見守りが楽しみでした。
今後は、中学校での野球活動をお弁当作りや体調管理も含めて、支えていきたいと思っています。

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「小さい頃は、室内でやわらかいボールを下投げして息子が打つという遊びをしていました」

ママは、これまでたくさんの人に支えられてきたと言います。

夫は息子が1歳のときに他界しています。
実家の母の全面協力があることで今の生活が成り立っていますし、ここまで生きてくることができました。
実家の家族には感謝しかありません。義父と義母は離れて暮らしていますが、おたがいに支え合う存在です。
学童野球でも、息子は監督やチームメイトの家族など、みんなにかわいがってもらいました。
そこで出会ったママたちもみんな温かくて、親子で救われました。

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写真は、今回の撮影中のオフショット。
普段のコウくんが、こんなにやさしい眼差しをママに向けているということを教えてくれる1枚です。

笑顔で育てなきゃと、常に気を張っていたら、身体を壊してしまったこともありました。
ちょうどそのとき......息子が5歳くらいの頃でしょうか。『とうちゃん見てるよ、大丈夫だよ』という言葉をかけてくれたことがありました。
5年生のとき、息子が『かあちゃんにはオレがいるから大丈夫、大丈夫』って頭をなでてくれたこともありました。
心配させすぎちゃったかなと、ちょっぴり反省しました。

大げさかもしれませんが、これまで、息子の存在が生きる希望でした。
これからは私が、息子の光る希望を見つけられるようにサポートしていきたいです。


「これからコウくんとふたりでどんなことをしたいですか?」という問いに、「息子が付き合ってくれるなら、旅行したりおいしいものを食べに行ったりしたいです」と答えてくれたママ。
今よりさらに大きくなったコウくんが、ママと一緒に旅する姿が目に浮かびました。

大丈夫。これから何度でも、どんな場所にでも、コウくんと一緒に行けますから!

撮影/矢部ひとみ 取材・文/羽田朋美(Neem Tree)

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