vol.7 幸せは、日々の暮らしの中に
大型ルーフバルコニー付きの日当たりの良いマンションに暮らすのは、高校1年生のお兄ちゃん、小学4年生のあっちゃん、パパ、ママの4人家族です。ママはインターネット通販での物販のお仕事や、花に親しむことで子どもの豊かな心と生きる力を育む花育士として活動しています。そんなご家族に撮影のため、バルコニーへ集合していただくと、みなさん自然と笑顔に。仲良しファミリーの、あたたかな日常をお届けします。
6:00 朝のルーティン/お花の水替え
ママは6時に起床後、身支度をした後にお花の水替えをするのが毎朝の習慣です。花育士のママにとって、お花は生活の一部であり、お子さんたちとのコミュニケーションツールなのだとか。
私は日本の行事を大切にする家庭で育ちました。それを面倒に思う時期もありましたが、自分が家庭を持ち、子どもを持つと、どの行事も家族の幸せや健康を願う大切なものだと気付きました。それ以来、無理のない範囲で子どもと日本の行事を楽しみながら心豊かに暮らすことをモットーとしています。私の場合は、季節のお花を飾ることで、そこから子どもとの会話が広がるようにしています。
日々の生活の混乱にストレスと何とも言えない不安を感じている方はたくさんいらっしゃると思います。わが家も例外ではありません。以前、花にはストレスを緩和する力があるという記事を読みました。以来、家族が少しでも平穏な状態が保たれたらと花を飾っています。
実際に花には触れなくても、視覚や嗅覚で花を感じリラックスすることで本来の自分を取り戻してもらえたら嬉しいですね。
花育士の活動を通して、お子さんに伝えたいことはなんでしょう。
『花育』とは、右脳を活性化させるお花を使った遊びです。アレンジメントを教えるものではなく、自由にお花を活けてもらうことで右脳を刺激し、潜在能力を引き出して表現力や発想力を養い、情緒的な側面を高めるものです。私は花育を通して、イメージしたことを形にする楽しさ、ひらめきをたくさん感じる楽しさ、感じたことをアウトプットする楽しさを伝えていきたいと思っています。また、お花は生き物ですので毎日お世話しなければすぐに枯れてしまうし、大切に扱わなければ茎が折れたりしてしまいます。
そこから他者への思いやりや、やさしさが育まれればいいなと感じています。そして社会に出た時、花育での経験が新しいことに挑戦し、企画するアイディア力や発表するプレゼン力につながればと思っています。
アロマを炊いて朝食の準備をスタート。
寝過ごすこともありますが、家族が誰も起きていない朝の静寂が大切な時間です。リビングの窓を開けて空気の入れ替えをしながら一日の過ごし方をイメージすると、時間に追われる感覚なく過ごせます。
6時45分にパパと子どもたちが起きてくるそうです。
気持ちよく1日を過ごすために、「おはよう」「いってらっしゃい」は必ず言うようにしています。思春期の息子にも、しつこく声掛けしています(笑)。
声の調子で体調の変化や心の変化に気づくことができるので、大切なルーティンになっています。
9:00 仕事/インターネット販売の在庫チェック
ママは、ギフトにも喜ばれるお花の形をした石鹸、フラワーソープを販売する仕事をしています。8時に子どもたちを学校に送り出し、掃除や洗濯を済ませた後は、商品の在庫チェックや商品ページの見直しをします。
長年勤めた会社を退職した後、物販スクールでインターネット通販のノウハウを学びました。初めてフラワーソープを目にした時にとても素敵だなと思い、取り扱いを決めました。商品自体がとても好きなものなので思い入れがあり、商品撮影や説明文の執筆などの作業も楽しくやっています。どうしたらお客様に喜んでいただけるかを考える時間も幸せですね。
12:00 昼食/土日はパパが調理
昼食は、在宅ワークのパパと一緒。パパがパスタを作ることも。
コロナ禍になってから、夫が料理をひとつ覚えました。非常食のサバ缶を使ったトマトソースのパスタです。家族にも好評で、以来土日を中心に作ってくれます。
「もっとレパートリーを増やしたいですね」と笑っていたパパは、あっちゃんからトマト缶を受け取る時にも、とびきりの笑顔を見せてくれました。
14:30 娘帰宅/ベランダの草花に水やり
学校から帰ってくると、あっちゃんがベランダの草花に水やりをします。大事に育てているお花は、霜がついて元気がないために安売りしていたものだそう。「自分が元気にしてあげるんだ」と言って、あっちゃんが選びました。
「おばあちゃんが教えてくれて、枯れたお花を取ってあげたり、落ち葉を肥料にしてあげたりしたんだ。元気のなかったお花が元気になってくれてうれしい」と、あっちゃん。お花のお世話をする毎日の中で、やさしい心が育まれています。
17:00 宿題/近くで見守りながら夕食の準備
ママは夕食の準備をしながら、キッチンであっちゃんの宿題の見守りをします。
「わかんない!」という時は横について見てあげますが、基本はひとりで取り組んで、30 分程で終わらせています。
家事を効率よくこなすために、食事は食品宅配サービスのミールキットを使うこともあるそうです。
最初は高いかな?と思いましたが、ちょこちょこと買い物に行くよりわが家には節約になっています。
お子さんとの程よい距離感や、肩の力を抜いて取り組む家事など、ママの日常からはバランス感覚のよさも伝わります。
日々の暮らしを大切にしながら、季節ごとのレジャーを楽しんでいるというご家族。「長男が中学生になってからは部活動や塾などで、家族全員で過ごす時間はかなり少なくなりました。それでも、春はお花見、夏は海水浴、秋は紅葉狩り、冬はスキーやスノーボードに出かけています」とママは言います。幸せは日常にあふれていることを感じさせてくれるファミリーは、気候のいい今、ルーフバルコニーでバーベキューを楽しんでいるかもしれません。
撮影/矢部ひとみ 取材・文/羽田朋美(Neem Tree)