おかね Share

子どもと話していますか?「お金のこと」

 

子どもと話していますか?「お金のこと」

お金は生きていくうえで必要不可欠です。子どもの頃からお金の教育を受け、金融リテラシー(生きていくうえで必要な日々の家計管理・資産形成・金利やローンの知識など、人生を通じてお金とうまく付き合うための知識やスキル)を身につけることには多くのメリットがあります。ところが、子どもたちがお金の知識を学べる機会は、そう多くはありません。そこで今回は、お金のプロであるファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんに「お金の大切さを伝える」をテーマにお話を伺いました。

Q&A「子どもに聞かれたら、こう答えよう!」も参考に、お子さんとお金について話す機会をつくってみませんか。

お金の教育は子どもの「自分で生きる力」を育む

pixta_75851991_M (1).jpg

子どもがお金の教育を受ける最大のメリットはなんでしょう。

『自分で生きる力~自活力~』が身につくことです。自活力の中でも特に次の3つの力は、自分で幸せに生きるために、大切な力だと思います。

  1. お金を得る力(働くことや資産運用)
  2. 自分らしく生きるためにお金を使う力(やりくり力ももちろんですが、寄附など人のために使うことも大切)
  3. 大きな損を避けられる力(詐欺などにだまされないなどリスク管理能力)

お金の教育は何歳から始めるのが正解?

お金の教育は何歳から始めるのが正解?

お金の教育は、0歳から始められると鈴木さんは言います。

「『お金は大事なもの』ということを親の言動と声かけで伝えられるのは、生まれてすぐ、0歳からできます。赤ちゃんは親の背中を見て育ちますので、お財布や小銭を乱雑に取り扱ったり、衝動買いなど考えない買い物などをしている場合は、気をつけていただきたいですね。買い物するときに『今日はカレーだから人参を買おうね』『ママ、このお菓子が欲しいけれど、今日は予定していなかったから買うのはやめよう』といった声かけもいいですよ。

子どもにお金の価値を教えるとしたら、2歳くらいから。お子さんと一緒に買い物のときはカード払いをやめて現金にして、お金を払うとモノが買えることを伝えることから始めたいですね。また、働いてお給料が入ることや、電気やガス、交通にもお金がかかっていることなどは、そのくらいから声かけしていくと、モノを大事に扱える子になるでしょう」

お金のことを伝える上で、子どもにわかりやすく、興味を持ってもらうための大切なポイントは?

日常生活の中で、わが子のお金への関心を育むために大切なことはなんでしょう。

「例えば子どもと一緒に遊ぶことにお金を使うのはとてもうれしいなど、日頃、親自身がどんなことにお金を使うことが大切か、衝動買いのようにどんなことにお金を使うと後悔するのか、日常会話の中で話して聞かせることが一番だと思います。子どもはパパとママの失敗談が大好きですから、興味を持って聞いてくれますよ。そして、自分は気をつけようと思ってもらえます。小学生くらいになれば、ニュースやバラエティなどで出てきたお金まわりの話をネタに、家族でいろいろと話し合うのもいいですね。『お金をこんなふうに扱いたい』など、お金に対する価値観の共有が、お子さんの金融リテラシーアップにつながります」

お金の価値がわかっていない子どもへの向き合い方は?

鈴木さんに、読者ママからのお金に関するお悩み相談にお答えいただきました。

お悩みママ

お悩み

小学1年生の息子は、お金の価値がわかっていないのではないかと不安です。このところ買い物もキャッシュレスが増え、お金のやり取りを見る機会が少ないせいか、《うちでのこづち》のように、お金は望めば増えるものと思ってしまっているよう。お金の価値や大切さはどうしたら伝わるでしょうか。(小1男児・小4女児のママ/さとこさん)

(株)ライフヴェーラ代表取締役 みらい女性倶楽部 代表 鈴木さや子さん

回答

子どもは「目に見えるもの」から情報を得ますので、親がカードやネットで買い物していても、お金が支払われているとは理解できません。できれば、子どもの目に触れる場面では、現金で買い物をしてお釣りをもらったり、ネットでの買い物は控えたりするなど、「お金が動いて品物が手に入る」ことを見せてあげてください。

ATMに行く際も、勝手にお金が出てくるわけではなく、「パパやママが働いて世の中の人が喜んでくれることをしているから、お礼にお給料をこの箱に入れてくれているんだよ」など、小1の子どもにもわかりやすいように、お金の動きを声かけすると良いでしょう。

また、現金を持たせておつかいに行かせたり、パパやママが助かるお手伝いをしたらおこづかいをあげたりするのもいいでしょう。お子さんに貯金箱をプレゼントして、お手伝いでもらったおこづかいを自分で貯金していくのも、お金の価値を伝える第一歩となります。自分で働いて得たお金で自分の欲しいモノを買うことを繰り返すことで、お子さん自身がお金の大切さに気づいていきますよ。

Q&A「子どもに聞かれたら、こう答えよう!」

お子さんとお金について話す準備は整いましたか。ここでは、お子さんのお金に対する質問の回答方法の一例を紹介します。

Q.お金ってなに?

A.お菓子を買いたい時に、お店でお金を渡すよね。お金というのは、このように何か手に入れたい時に代わりに渡すものだよ。お金がない昔は、きれいな貝殻などを渡して、魚とか肉を手に入れていたんだよ。お金ができてからは、お財布に入るように薄い紙幣や小銭になって、たくさん貯めておくこともできて便利になったんだね。

また、同じお菓子でも100円のものと50円のものがあったら、50円のお菓子の方が「安い」ってわかるよね。「高い」と「安い」を誰でも知ることができるのもお金があるからだよ。

モノとの交換に使ったりできるお金だけど、「ありがとう」の交換ともいえるんだよ。たとえば、お菓子を作っている会社は、そのお菓子を「おいしい!」「作ってくれてありがとう!」と買った人からお金をもらえるよね。そしてその会社でお菓子を作った社員さんは、会社から「作ってくれてありがとう!」と給料をもらうんだね。つまりお金は、人から感謝されたり、人の役に立ったりするともらえるんだ。そういう人になりたいね!

Q.ものの価値はどうやって決まるの?

A.その品物を「欲しい人」が増えると、価格が上がり、ものの価値が上がるよ。逆に、その品物を「売りたい人」のほうが多いと、品物は余ってしまうよね。そうなると価格は下がり、ものの価値が下がるよ。例えばゴールデンウィークやお正月になると旅行代金が高くなるよ。これは長い休みを使って旅行に行きたいと思う人が増えるからだよ。

Q.お年玉をたくさんもらったら、どうすればいい?

A.いろいろな方法があるけれど、お金を使うときに大切なのは、「これは本当に必要なものかな?」と考えることだよ。本当に欲しいものがあったらその品物を買うのもいいし、今欲しいものがなければ、将来のためにためておくのもいいよね。「何に使ったのかわからない」というお金の使い方が、一番もったいないお金の使い方だよ。


日本では、お金の教育が遅れていると言われています。しかし、お金の知識や上手な使い方を身につけることは、「自分で生きる力~自活力~」を培ううえで欠かせません。改まって話し合いの場を持たなくても、日常生活の中でお金の大切さを伝えていけたらいいですね。

取材・文/羽田朋美(Neem Tree)

(株)ライフヴェーラ代表取締役 みらい女性倶楽部 代表 鈴木さや子さん

教えてくれた人

(株)ライフヴェーラ

代表取締役
みらい女性倶楽部 代表 鈴木さや子さん

ファイナンシャルプランナー(CFP)・1級FP技能士・DCプランナー1級・キャリアコンサルタント(国家資格)・All About学費・教育費ガイド。 生活に役立つお金やキャリアの情報を、セミナーや執筆にて発信。金融商品などを一切販売しないFPとして活動。運営するみらい女性倶楽部では「今もみらいもワクワクに」を合言葉に、お金・ヒト・スキル・キャリア・笑顔、5つの資産を育てるための情報を発信中。HP:https://miraijosei.com/

Recommend おすすめ