


小学校の教育費はいくら?公立・私立の月々の学費や無償化の範囲を解説
ランドセルに体操服、給食袋に上履き。
必要なものをそろえていくうちに、「あれ?思っていたよりお金がかかるかも...」と感じた経験はありませんか?
「小学校は義務教育だからお金はかからない」と思っていても、始まってみればあれもこれもと出費がじわじわ積み重なります。今回は、公立・私立別の教育費の実態や、意外とかかる"あの費用"まで、リアルな小学校生活の出費事情をわかりやすくまとめました。
月々の小学校の教育費はどれくらい?全体像をつかもう
文部科学省が公表する「令和5年度子供の学習費調査」によると、1年間にかかる教育費の平均は、公立小学校で約33万6,000円、私立小学校では約182万8,000円です。
▲文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」をもとに編集部作成
これを月々に換算すると、公立で約2.8万円、私立で約15.2万円。
「思っていたよりもかかるんだな」と感じた方もいるかもしれません。この「学習費総額」は、以下の3つの項目に分かれています。それぞれ、どんな費用が含まれているのか見ていきましょう。
区分 | 公立小学校(年間) | 私立小学校(年間) | 含まれる主な内容 |
---|---|---|---|
学校教育費 | 約8.2万円 | 約105.4万円 | ・図書、文房具、学習材料費 ・校外学習、遠足などの活動費 ・クラブ活動費、PTA会費 ・通学交通費 ・(私立のみ)授業料、入学金、施設費など |
学校給食費 | 約3.8万円 | 約5.4万円 | ・給食の食材費など ・一部自治体で無償化あり |
学校外活動費 | 約21.6万円 | 約72.0万円 | ・学習塾、通信教育、家庭教師などの補助学習 ・ピアノ、英語、水泳などの習い事 |
総額 | 約33.6万円 | 約182.8万円 |
公立と私立では、費用の総額だけでなく、何にどれだけお金がかかるのかという内訳にも大きな違いがあります。
特に私立では、授業料や入学金、施設使用料といった固定費が大きく、加えて学校独自の教材や行事費なども発生するため、結果として教育費全体が高くなる傾向があります。
学年別で比較!公立・私立の小学校学習費の推移
小学校6年間を通して、教育費はどのように変化するのでしょうか?
文部科学省の調査によると、もっとも費用が高いのは、私立小学校の1年生で約213万円。公立でも同じく1年生が高く、約38万円となっています。その後は一度落ち着きながらも、学年が上がるにつれて徐々に増える傾向が見られます。
▲文部科学省「令和3年度子供の学習費調査・2 調査結果の概要」をもとに編集部作成
このデータから見えるのは、多くの家庭で入学初年度の出費がかさむ点です。
ランドセルや文房具、体操服、学用品一式の準備に加え、私立の場合は入学金や制服代などの支出が集中し、学習費総額が突出して高くなります。
2年生以降は一度落ち着くものの、高学年になると再びじわじわと支出が増える傾向に。
背景には、使用する教材の専門化や、修学旅行・クラブ活動などの学校行事の本格化があると考えられます。
備えておきたい!追加になるかもしれないその他の費用
学費や給食費のような「定番の出費」以外にも、小学校生活を送るなかで必要になるお金は意外とあります。
すべての家庭に共通するわけではありませんが、ライフスタイルや教育方針によって発生する可能性がある費用についても紹介します。
放課後児童クラブ(学童保育)の利用料
小学校の授業終わりに、子どもが安心して過ごせる場所のひとつが「放課後児童クラブ(学童保育)」です。保護者が仕事などで家にいない場合に利用でき、宿題をしたり、友だちと遊んだりしながら放課後の時間を過ごします。
令和4年度の調査によると、月額の利用料は4〜6千円未満がもっとも多く(27.5%)、次いで6〜8千円未満(20.9%)、2〜4千円未満(16.5%)となっています。利用料は自治体によって異なりますが、夏休みなどの長期休みには、別途料金がかかる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
参考:厚生労働省|令和4年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(5月1日現在)
習い事・スポーツクラブなどの月謝
小学生になると、子ども自身が「これをやってみたい」と思うことも増えてきます。
文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」によると、習い事など学校外活動にかかる費用は、公立小学生で月平均17,870円、私立小学生では約53,900円です。家庭ごとの考え方によって差はありますが、年収に対する教育費の目安は10〜15%以内が適切とも言われています。
「習い事費用はいくらまでならOK? 無理せず続けるお金のかけ方」では、実際の家庭の声や、収入に合わせた習い事の選び方、やめどきの考え方なども紹介しています。無理なく続けられる範囲を見つけるための参考にしてみてください。
進学塾・受験対策費
中学受験を検討するかどうかは家庭によってさまざまですが、進学塾や家庭教師などによる受験対策の費用は、教育費のなかでも大きなウェイトを占めます。選ぶスタイルによって金額は異なるため、事前におおよその目安を知っておくと安心です。
① 大手の集団塾
•月額:約3万〜6万円(学年や教科数により変動)
•年間費用:約80万〜130万円(季節講習・模試・教材費含む)
② 個別指導塾
•1対1指導:約5千〜1万円/1回
•1対2〜3指導:約3千〜6千円/1回
•月額:約5万〜10万円以上になることも
•年間費用:約60万〜120万円
③ 家庭教師
• 1時間あたり:約3千〜1万円
•月額:約3万〜10万円超(週1〜2回想定)
•年間費用:約50万〜120万円以上
④ オンライン塾・学習サービス
•月額:約2千〜1万円
•年間費用:約2千〜12万円
参照元:たまちっぷす「進学のための学習塾、費用どれくらいかかるの? vol.44」
小学校の教育費「無償化」ってどこまで?
「小学校はお金がかからない」と思われがちですが、実際に無償となるのは授業料と教科書代のみです。それ以外の給食費や学用品費、行事にかかる費用などは、家庭での負担が必要になります。
ここでは、公立と私立での違いを見ていきましょう。
公立小学校の場合
公立小学校では、授業料と教科書代が無償化されています。これは、日本国憲法第26条や教育基本法に基づくもので、すべての児童が対象です。
ただし、以下の費用は保護者の負担となります。
- 学校給食費(自治体によっては無償化されている場合もあります)
- 学用品費:文房具や体操着など、授業に必要な物品の購入費用
- 学校行事費:遠足や修学旅行などの費用
- 通学費:交通費や通学用具の購入費用
私立小学校の場合
私立小学校は公立と異なり、授業料や教科書代も含めて、基本的にはすべて自己負担となります。
一部の自治体では、授業料の一部を補助する制度を設けているところもあるので、金額や対象条件を確認してみるのがおすすめです。
小学校にかかる学費の支援制度
小学校にかかる費用負担を軽減するため、各種の支援制度が設けられています。
就学援助制度
経済的な理由で就学が困難な家庭に対し、市区町村が学用品費や給食費などの一部を援助する制度です。
対象となるのは、以下の通りです。
・要保護者
生活保護法第6条第2項に規定する要保護者
・準要保護者
市町村教育委員会が生活保護法第6条第2項に規定する要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者
参照:文部科学省|就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)
学用品費や通学費のほか、修学旅行費や卒業アルバム代等が補助の対象となる可能性があります。援助内容や申請方法は自治体によって異なるため、詳細はお住まいの市区町村に問い合わせてみてください。
その他の支援制度
新入学時に必要となる学用品や通学用品の購入費用を補助する入学準備金制度のほか、特別支援学級に通う児童への手当、医療費の助成など、家庭の経済状況に応じて利用できる制度が用意されています。
まずは、お住まいの自治体の制度を確認し、必要に応じて申請を検討してみましょう。
小学校の教育費を知れば、家計の不安も減らせる
「義務教育=無料」と思われがちな小学校生活ですが、実際には公立で年間約33.6万円(月あたり約2.8万円)、私立では年間約182.8万円(月あたり約15.2万円)の教育費がかかることがわかりました。
とくに兄弟・姉妹がいるご家庭では、入学や進級などで複数の費用が一度に重なり、想像以上に家計への負担が大きくなることも。教育費を毎月少しずつ積み立てたり、必要な物を前もってリストアップして購入時期を分散させたりするなど、早めの準備が無理のない対策につながります。
わが家に合ったペースで、計画的に備えていきましょう。
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文:たまちっぷす編集部 音熊みなみ