


意外と知られていない!?「預金」と「貯金」の違いって?
普段何気なく使っている「預金」と「貯金」という言葉。意識して使い分けたことはありますか?
「預ける」と「貯める」では意味が異なりますが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。実は、この2つの言葉には明確な違いがあり、使い分けることで金融の仕組みもより理解しやすくなります。
今回は、「預金」と「貯金」の違いについて解説します。
「預金」と「貯金」は預ける先が違っていた!?
「預金」と「貯金」は、どちらもお金を銀行などに預ける行為を指しますが、実は預ける先によって使い分けられています。
まず、「預金」は銀行や信用金庫、信用組合、労働金庫などの金融機関にお金を預けることを意味し、「普通預金」や「定期預金」といった言葉が使われます。法律上でも、銀行法や長期信用銀行法では「預金」と表記されています。
一方、「貯金」はゆうちょ銀行(旧・郵便局)、JAバンク(農協)、JFマリンバンク(漁協)などにお金を預ける場合に用いられます。郵便貯金法や農業協同組合法では「貯金」という表現が使われています。「郵便貯金」という言葉に馴染みのある人もいるかと思います。
この違いの背景には、「預金」はもともと商人などが事業資金の管理に活用するものとして位置づけられていたのに対し、「貯金」は一般庶民がコツコツと財産を築く目的で始まったという歴史があります。そのため、現在も預ける機関によって名称が異なっているのです。
「預金」と「貯金」は取り扱いにも違いがある!?
「預金」と「貯金」には、預ける機関の違いだけでなく、取り扱いにもいくつかの違いがあります。
①保険制度の違い
「預金保険制度」「貯金保険制度」は、金融機関が破綻した際に、元本1,000万円とその利息までを保護する仕組みです。
預金保険制度
金融機関が預金保険機構に保険料を支払い、万が一の破綻時に預金者の資産を一定額まで保護します。
<預金保険制度の対象となる金融機関>
銀行法に規定する銀行(都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、ネット銀行、ゆうちょ銀行等)、長期信用銀行法に規定する長期信用銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、商工組合中央金庫
貯金保険制度
JAバンク(農協)、JFマリンバンク(漁協)などが貯金保険機構(農水産業協同組合貯金保険機構)に保険料を支払い、万が一の破綻時に組合員の資産を一定額まで保護します。
<貯金保険制度の対象となる組合>
農協・漁協、信用農業協同組合連合会、信用漁業協同組合連合会、農林中央金庫
②預金・貯金の種類
「預金」には、おもに「普通預金」「定期預金」「外貨預金」「貯蓄預金」「当座預金」などがあり、特に「当座預金」は企業向けに手形や小切手の決済手段として利用されます。
「貯金」には、「普通貯金」「貯蓄貯金」「定額貯金(定期積金)」「定期貯金」などがあり、企業向けの「当座預金」のような仕組みはありません。
【豆知識】「貯金箱」はなぜ「預金箱」ではないのか?
「貯金箱」が「預金箱」と呼ばれない理由は、「貯金」と「預金」の本来の意味の違いにあります。
「貯金」には、「お金をコツコツ貯める」という意味が含まれます。
貯金箱は、自分でお金をためる目的のものなので、「貯金」という言葉が使われています。
一方、「預金」は、お金を金融機関に預けることを指します。「預ける」という行為が前提となるため、自分で管理する貯金箱とは貯金箱とは異なります。そのため、「預金箱」という表現は使われないのです。
また、「貯金」という言葉は子どもにもなじみやすく、お金を大切にする習慣を育むための金銭教育の一環としても活用されています。
貯金箱を使うことで、お金を貯める楽しさや目標を持つ大切さを学べるため、「貯金」という言葉は広く一般的に使われるようになったのかもしれません。
貯金箱といえば、ピンクのかわいい豚のデザインを思い浮かべる人も多いでしょう。
実は、その起源は14世紀のイギリスにあるといわれています。当時、「ピグ(pygg)」と呼ばれる粘土で作られた壺に人々はお金を貯めていました。ある日、職人が「pygg(粘土)」を「pig(豚)」と勘違いし、豚の形をした貯金箱を作ったのが始まりとされています。
偶然生まれた豚の貯金箱は「かわいい」と評判になり、さらに豚は子だくさんで縁起が良いことから、「お金が増える」との考えが広まり、世界中へ普及しました。
「預金」と「貯金」は預ける先や目的が異なることがわかりました。普段何気なく使っている言葉の違いを知ることで、金融の仕組みをより深く理解できるのではないでしょうか。
「貯金」という言葉が子どもにも親しまれ、金銭教育の一環として使われていることや、豚の貯金箱が誕生したユニークな背景を知ると、お金を貯めることがさらに身近に感じられるかもしれません。
これを機に、お子さんとお金の管理について考えてみるのもよいかもしれませんね。
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文/羽田朋美(NeemTree)