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アウトドア防災ガイドが伝授!子育て世代が知っておきたい防災術とは?

 

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近年、豪雨災害のニュースを目にする機会が増えたと思いませんか。震度5弱以上の地震の回数も多くなっているように感じる方は、少なくないのでは?
事実、2022年の震度5弱以上の地震の発生回数は15回で、過去5年間で最多となりました。また、政府の地震調査委員会が発表した「30年以内に首都直下地震で想定されるマグニチュード7程度の地震が発生する確率は70%」を考えると、今すぐ対策することが欠かせません。

そこで、阪神大震災被災体験とアウトドアの知識を生かして全国で講演活動を展開するアウトドア防災ガイドのあんどうりすさんに、命を守るために家族でできる準備や対策についてお聞きしました。

日常の防災体験がいざというときに活きる

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あんどうりすさんは、日常で実際に体験することを通して、防災のすべを身につけていくことが大切だと言います。

まずはご自宅にいるときに親子で一緒に考えて、お子さんひとりでも対策を取れるようにしておくことですね。
次に、保護者が知識を伝えるだけでなく、実際に体験してみることですね。

今、各地で水害が起こっていますが、テレビでは水の中を歩いている人の映像が流れたりしますよね。だから、水の中でも歩けると思っている人は結構いると思うのですが、実際は浸水の深さが50センチ程度になると、水圧の影響で大人でも歩くのが難しくなります。

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国土交通省が5年生向けに水深30cmで流速1mの場合、片足ごとに1.5kgの力がかかる実験動画を公開しています。動画を見ながら親子で実験をしていると、浸水した道を歩くのは危険であることを理解できます。

ほかにも、家にあるものの中から災害時使えるものを親子で探して、実際に使ってみるのもいいですね。例えば、野菜の水切りなどに使う金属ザルにLEDライトを入れてランタンにしたり、ヘッドランプをつけて影絵をしたり...。子どもは暗闇ごっこが好きですからね。そんなふうに、生活を冒険にする中で、万が一に役立つ道具の使い方を学べるといいですね。

◆ほかにもある!日常生活の中でできる防災体験

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1.ベランダで食事をしてみる(※)

ガスが止まってしまったことを想定し、ベランダにカセットコンロを持ち出して、カセットコンロで準備できる食事をしてみるのもいいでしょう。カセットコンロの使用禁止のマンションであれば、ポータブル電源とホットプレートを使うなど、できることを考えてみてください。

(※)ベランダからの落下事故もあるので、5歳以下にはおすすめしていません。10歳以上でも落下対策はとった上で実践してください。

2.キャンプで非常食を食べてみる

青空の下で食べると、カップラーメンだけでもすごくおいしく感じます。そんなおそとごはんの効果を利用して、非常食の食べ比べをしてみるのも一つです。災害時は、食べ慣れたものやおいしいものを食べることがストレスを和らげてくれます。家族みんなのお気に入りを探してみましょう。

3.ポータブル電源を使ってみる

電源コンセントがない場所でも使えるポータブル電源を実際に使ってみて、どれくらいの電気を使えるのか試してみるのもいいですね。折りたたみ式のソーラーパネルで発電して、ポータブル電源にどれくらい電気がためられるのか実験するのも楽しいです。

家族と別の場所で被災した場合は?今すぐ備えておきたいこと

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災害は、必ずしも家族一緒のときに起こるとは限りません。子どもと別の場所で被災した場合を想定して、今すぐ準備できることとは?

まず、子どもが行く場所...例えば塾や習い事などの防災対策や災害時の対応についてはあらかじめ確認しておきましょう。家具の固定がされていない場合は、要望することも大切です。
さらに、大地震が発生したときに受け入れてくれる『一時滞在施設』というのがあります。お水をもらえたり、トイレを使わせてくれたりするコンビニエンストアやファミリーレストランなどの『災害時帰宅支援ステーション』とともに東京都防災マップで確認できますので、お子さんと一緒にあらかじめ確認しておきましょう。

ほかにも、以下のようなことが重要です。

1.GPSアプリ搭載のスマホやGPS発信機を持たせる

位置情報がわかるものを持たせておくと安心です。キーホルダー型の子ども用は手軽で扱いやすいと思います。また、スマホやキッズ携帯をお持ちであれば、緊急地震速報の受信設定もしておきましょう。

2.あらかじめ危険箇所を確認しておく

お子さんの行動範囲の危険箇所を確認しておきましょう。東京消防庁のアプリにある、防災学習の項目内では、首都直下地震のシミュレーション動画で学校や通学路、自宅に潜む危険な場所をチェックすることができます。もし先に緊急地震速報が受信できたり、移動できたりするようであれば、ものが落ちたり倒れたりしない場所に移動するように伝えてください。ブロック塀は最初から激震だと離れることもできないので、普段からその前は歩かないように話しておくのがベストです。

3.待ち合わせ手段を決めておく

家族と連絡が取れない場合があるということを伝えておきましょう。塾や習い事に行っている場合は、『必ず迎えに行くから、その間は安全なこの場所で待っていてね』など、落ち合う方法を決めておくと安心です。また、都市部は72時間帰宅抑制があるので、しばらく迎えに行けない場合があることも話し合っておきましょう。

ひとり一個 軽い防災グッズをいつも持ち歩こう

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必要最低限のものをまとめた防災ポーチを家族分用意しておくこともまた、命を守ることにつながります。いつものカバンの中に、軽い防災グッズも入れておきます。お子さんの外出時はもちろん、保護者の方もぜひお持ちいただきたいです。

   

・ホイッスル

災害時、ほとんどの人は周りの人にしか助けてもらっていません。また、がれきなど重いものに長時間挟まれてしまうと、助け出しても亡くなってしまうクラッシュ症候群を引き起こします。ホイッスルは必ず持っておいていただきたいです。
おすすめは、軽い息で大きな音が出て、人や救助犬に聞こえやすいものです。また、球が入ってるものは、濡れると音が出なくなるので、入っていないものを選びましょう。ホイッスルはポーチの中にしまいこまず、取り出しやすい場所に入れます。

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・LEDライト

100円ショップで売られているようなものでもOKですし、LEDライトに関しては、ちょっと金額を積むと軽くて明るくコンパクトなヘッドランプなどもあります。スマホで明かりを取りたくなりますが、そうするとあっという間に電源がなくなってしまいますので、LEDライトが1つあると安心です。

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・携帯トイレ

災害時はそこらじゅうが汚物まみれになる可能性があるため、1つはポーチの中に入れておくと安心です。コーヒーや味噌を入れ、一度親子で吸水実験をして性能を確かめて、使いこなせるようにしておきましょう。

 

・飲み物や食べ物

手軽にカロリーを摂れて、お子さんが好きなものであればOKです。災害時に初めてアレルギーを発症したお子さんもいますので、食べ慣れていて保存がきくものが安心です。


家族みんなの命を守るためには、日頃から防災意識を持ち、それを子どもと共有することが大切です。
まずは、日頃の暮らしの中で災害時を意識した体験を重ねることが一歩。子どもと別の場所で被災した場合の備えもしておくことで、お子さんの防災意識も高まるはずです。

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教えてくれた人

アウトドア防災ガイド

あんどうりすさん

2003年より全国で講演活動を展開。楽しくてすぐに実践したくなる、毎日の生活を充実させるヒントがたくさんあると親達の口コミで全国に広まり、毎年の講演回数は100回以上。子育てグッズと防災グッズをイコールにしてしまうアウトドア流の実践的な内容が好評。

公式ホームページ「あんどうりすのゆるっとアウトドア防災」
防災マンガ
水害避難マンガ
災害時の乳児栄養マンガ

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取材・文/羽田朋美(Neem Tree)

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