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学問の秋!? 多摩地域の難読地名を巡る散歩5選

 

たまちっぷすでは<【多摩地域の難読地名クイズ】難読地名を10問出題!めざせ、多摩地域マスター!>と題して、多摩地域にあるパッと読むのが難しい10カ所の難読地名をご紹介しました。
難読地名の由来のように、普段は素通りしてしまう地域の中にも、実はその街ならではの歴史があり、ちょっとした楽しい話や魅力があります。

「愛宕(あたご)?聞いたことがない地名だけど、『耳をすませば』のモデルになっていたんだ!」などと実はなじみのあるものとのつながりが見えて、興味が湧いてくるかもしれません。
今回は、難読地名からおすすめのお散歩コースを5つご紹介します。

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1.『耳をすませば』の主人公が暮らす街!?
モデルとなった団地がある 愛宕(あたご)/多摩市

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京王相模原線永山駅から京王多摩センター駅をつなぐ線路の北側一帯にある街、<愛宕(あたご)>。
愛宕には、東京郊外の大規模ベッドタウンとして多摩丘陵を切り開いて開発された多摩ニュータウンの1つである団地があります。

愛宕団地は、ジブリ映画『耳をすませば』の主人公・月島雫が住んでいる団地のモデルになったといわれています。

団地をぐるっと囲む勾配のある坂<あたご一息坂>を上ると、団地のアイコン的存在<東京都水道局愛宕配水所>がそびえたっています。

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配水所とは、水道使用量が増える、災害で断水するなど水が急に必要になった場合に安定的に供給するための貯水槽です。災害時給水ステーションに指定されており、災害等により断水した際に、住民に水を配る役割を担います。
こちらの給水塔も映画で描かれ、『耳をすませば』の聖地巡礼スポットの1つとなっています。

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高低差のある団地付近には、勾配のある階段や登り坂が多く、運動不足の解消に最適です。

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3団地の周りには、ロケット型の遊具など宇宙をテーマにした公園<愛宕第四公園>や、動物のオブジェがある<愛宕東公園>、クライミング遊具のある<愛宕第二公園>があり、遊びながらの散策にもぴったりです。

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●たまちっぷす編集部発!私のおすすめポイント

小田急京王永山駅から徒歩30分の距離に位置する配水所は坂の上にあり、多摩ニュータウンの街並みが一望できます。近辺には緑地や趣の異なる公園が多く点在し、お子さん連れのお出かけにもおすすめです。ぜひ一度訪れてみてください。

【INFORMATION】
東京都多摩市愛宕

2.新鮮な野菜の直売所ものどかな田園地帯
佐須町(さずまち)/調布市

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甲州街道と中央自動車道に挟まれた調布市にある<佐須町(さずまち)>。中央には野川が流れています。

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調布市の生産緑地に指定されているところも多く、住宅とともにのどかな田園地帯が広がります。

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調布市が発行する<農産物直売所マップ>によると、佐須町の直売所は全4カ所。どの直売所も<佐須街道>近辺に集中しています。

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地域の名がついた<佐須街道>は、京王線柴崎駅から野川に交わる街道で、深大寺方面に続いています。

佐須街道を歩けば、田園風景を眺めながら、直売所を利用して農家さんが育てた新鮮野菜をお手頃な値段で購入できる楽しみがあります。

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佐須街道と野川の交わる手前には、佐須町を穏やかに守る鎮守社<虎狛神社(こはくじんじゃ)>があります。社殿の後ろには森のように高い木が何本もあり、地域のパワースポットになっているのだとか。佐須に住む子どもたちのことを「さずっ子」と呼び、虎狛神社で<さずっ子まつり>が行われるのだそう。社殿を守る狛犬もかわいくて、子どもに喜ばれそうです。

●たまちっぷす編集部発!私のおすすめポイント

街の中心には野川が流れ、のどかでゆったりした光景が広がっています。お手頃価格で地元の野菜が手に入るのは、子育て世代にはうれしいですね。閑静で住みよい街です。

【INFORMATION】
東京都調布市佐須町

3.姉妹都市・米国ミズーリ州インディペンデンス市と交流する
廻田町(めぐりたちょう)/東村山市

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東京都の各市町村では、海外と姉妹都市関係を結び、交流を深めている地域が数多くあります。西武多摩湖線と西武国分寺線に挟まれた東村山市もその一つ。アメリカ合衆国ミズーリ州にあるインディペンデンス市と1978年(昭和53年)に姉妹都市提携を行い、以後交流を深めています。

2つの都市間では、親善訪問をお互いに行うなど、さまざまな交流が行われてきました。
廻田町にある<東村山市回田小学校>では、インディペンデンス市グレンデール小学校と姉妹校となり、生徒間の交流が行われています。2024年度も市内では、来校したインディペンデンス市の小学生を受け入れるホストファミリーが募集され、廻田町のご家庭でも国際交流が行われました。

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<回田小学校>は、1964年(昭和39年)に行われた町名・字区域調整の町名設定より以前(1959年)にできたため旧字の漢字のまま、その歴史を今に伝えているそうです。

回田小学校の脇にある赤坂道を上ると、お隣の多摩湖町に入り、西武多摩湖線とぶつかります。

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多摩湖線を走る多摩湖車両を眺められるので、お子さん連れのちょっとしたお散歩コースにおすすめです。

目の前を走る列車を楽しんだ後は、そのまま都立狭山公園を目指し、廻田町を一望するのもいいでしょう。

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●たまちっぷす編集部発!私のおすすめポイント

廻田町は丘陵地帯なので、でこぼことした地形からなる街並みと緑が入り交じり、のどかで落ち着いた雰囲気を楽しめます。都立狭山公園の麓で緑が多いのも特徴です。廻田緑道のお散歩もおすすめです。

【INFORMATION】
東京都東村山市廻田町

4.冬の晴れた日には富士山が望める是政橋
是政(これまさ)/府中市

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多摩川と東京競馬場に挟まれた府中市にある<是政(これまさ)>。
多摩川沿いに野球場、ソフトボール場、テニスコートがあり、スポーツ施設が充実、郷土の森公園・博物館の一部もあり、お子さんが遊ぶのにぴったりです。

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府中市と稲城市を結ぶ多摩川に架かる<是政橋>は、全長約400メートルもの大きな橋。
東京2020オリンピックでは、自転車競技であるロードレースのリアルスタート地点にもなった府中市民の誇りの橋でもあり、冬の晴れた日には富士山が望めます。

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府中市には、<府中郷土かるた>という、府中の歴史、文化、自然をより多くの市民の皆さんに親しんでいただくために作成されたいろはかるたがあります。

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府中かるたには、46枚の読み札があり、読み札に合わせた切り札が46枚。是政にはそのうちの2つ「ち」と「よ」の読み札の題材となった場所があります。

「ち」......地名に残る井田是政
「よ」......横山党の懸け仏

「ち」は、難読地名でもご紹介した通り、是政の地を開拓した井田是政の名が、「よ」は武士集団<横山党>が鋳造した懸け仏が鹿島神社に祀られていることから作成されました。

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懸け仏は、市の指定文化財となっています。
どちらも、ゆかりのあるその土地にカルタの標識が設置されています。

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是政駅から歩いて1分の場所に、たまちっぷす編集部おすすめのそば屋<そば酒庵寿々屋>があります。

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創業50年の老舗そば屋で、小庭をあしらった日本風な店構えで、落ち着きがありモダンな店内でくつろぎながらおいしいそばを楽しめると評判です。

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●たまちっぷす編集部発!私のおすすめポイント

街歩きだけでなく、多摩川も楽しめるのが是政。おすすめのそば酒庵寿々屋には、寿々屋カフェも併設され、タピオカドリンクやチュロス、ドーナツなどのスイーツも楽しめます。駅から近く、ぶらりと訪れるのにもぴったり。朱色のテーブルや、壁一面の竹壁など和の趣がある落ち着いた店内ではおいしい料理とともに非日常空間を味わえます。

【INFORMATION】
東京都府中市是政

5.田畑から生まれる地域の子育て支援の輪
谷保(やほ)/国立市

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JR南武線谷保駅と矢川駅を結ぶJR線と多摩川に挟まれた<谷保(やほ)>には、東日本最古の天満宮であり関東三大天神のひとつである<谷保天満宮>があり、多くの参拝客が訪れます。

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なかでも1月下旬から3月にかけて紅梅と白梅が咲く梅林は人気で、時期になると売店には学業成就にあやかった合格ゼリーや白玉しるこが販売され賑わいます。

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梅林の奥を抜け、ハケを下ります。

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そこには<くにたち農の風景そぞろ歩き>との立て看板が設置され、辺りが水源に富む地帯であり、多摩川の水を利用した府中用水も引かれ、農業に適した環境であることが伺えます。
近辺は、田んぼや畑などの農のある風景が広がっています。谷保天満宮の周りには湧水が水源となる小川が流れ、網を持って川遊びに来る親子連れも訪れます。

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さらに散策すると雑木林<城山>が広がっていています。中世豪族の館の跡と伝えられ、東京都の歴史環境保全地域に指定されています。

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隣接する城山公園(国立市泉)には古民家や農業体験拠点となる城山さとのいえがあり、様々なイベントが開催されています。

そんな風景を守り伝承していくことを通して、地域の子育てに貢献する<くにたちはたけんぼ>という、コミュニティがあります。

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農作業はもちろん、遊びや学びの場、交流の場やビジネスの場として、人が集うコミュニティ農園で、府中用水のすぐ側にあり烏骨鶏やウサギ、山羊などの動物を飼育しながら、畑や田んぼを子どもたちと作っています。毎年7000名以上の方々が訪れる人気ぶりです。
昔ながらの田畑づくりを子どもたちが体験できる貴重なところです。泥んこになって思いっきり遊べるのもうれしいですね。

●たまちっぷす編集部発!私のおすすめポイント

国立市内とはいえ、国立駅付近とは全く異なるのんびりとした田園風景が広がっています。自然が多く、子どもと散歩するだけで遠足気分が味わえるし、散歩するだけでものどかな雰囲気に癒されます!谷保天満宮やくにたちはたけんぼを中心にさまざまなお祭りや、イベント等が行われているのでぜひチェックしてみてください。

【INFORMATION】
東京都国立市谷保


多摩地域には、多摩丘陵を初めとする変化に富んだ地形に多摩川が流れ、その土地ならではの歴史が加わることで多くの豊かな自然を生みだしています。普段は見逃しがちな街でも、地名に興味を持って覗いてみることで、その街を訪れ、魅力に気づくきっかけになるかもしれません。ぜひ周りの景色を楽しみながら、新たな発見をしてみてください。

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取材・文/加賀美明子(Neem Tree)

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