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「寝つけない」「昼食後の眠気」よくある睡眠のお悩みに眠りのプロがお答え!

 

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私たちの生活と切っても切り離せない、睡眠。
「寝つけない」「ランチの後に眠くなる」など、よくあるお悩みとその対策について、子どもの眠りについてお聞きした前回の記事睡眠時間から睡眠不足による影響まで~子どもの睡眠の疑問~に続き、株式会社エムールの経営企画室室長で睡眠改善インストラクターの沢田 裕さんにお聞きしました。

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夜眠れない!そんなときには

年代別の睡眠の悩み

大人は、子どもとは異なる睡眠の悩みを抱えています。また、年代によってお悩みも違ってくるのだとか。

加齢とともに人間の代謝機能は落ちていきますよね。
睡眠というのは休息行動ですので、代謝が落ちてくれば、当然、必要な睡眠時間も減っていきます。
ご高齢になると夜間に目覚める中途覚醒や、朝4時頃に目覚めたりする早朝覚醒が増加し、"昔はもっとぐっすり眠れたのに"と悩まれる方がいらっしゃいますが、それは自然なことで、ある程度は受け入れつつ、年代を重ねるにしたがって睡眠に悪影響のあることは避けるように心がけたいですね。

睡眠に課題を感じ始める年齢は、30代頃からですね。20代に比べて体力が落ちてきているので、睡眠の質を良くしたい、寝具を見直してみようかなと考える方が多いです。
寝つきが悪くなった、寝ても疲れが取れないなどの悩みが顕著になってくる方は、40代になるとグッと増えるという印象です。
(株式会社エムール 沢田裕さん、以下同)

眠れない原因と対策

年齢を重ねるごとに増加する「寝つけない」という悩み。何が原因なのでしょうか。

スマホやパソコンなどの強い光の刺激や就寝前のアルコールやカフェイン摂取、喫煙などはよくある不眠の原因ですね。
ほかにも、ストレスや疲労であったり、"明日あれをやらなきゃ"など、気がかりがあるときは寝つきにくくなります。

寝つけないときには、何をするのが効果的なのでしょうか。

▶︎ストレスや気がかりがあって眠れないとき

何か嫌なことがあったなど、ストレスを感じたときにはパートナーやご家族に相談できるといいですね。
気がかりは紙に書き出して机の上に置いておくなど、頭の外に出していったん忘れることをおすすめします。
気がかりを可視化することで、思考が整理され、クリアになります。

▶︎体は疲れているのに脳が興奮状態にあるとき

部屋を暗くし、軽くストレッチをして体をほぐしたり、横になって脱力してみたり、体をゆったりとさせてあげましょう。
大切なのは、寝る前は交感神経を優位にさせないということなので、リラックスを心がけてください。
アロマを焚くのもいいですね。

▶︎開き直る

ベッドに入って30分間眠れなかったら、まだ眠くないんだということで、起きてしまうのもひとつです。
ベッド=眠れない場所と思い込んでしまうと寝るのが嫌になったり、怖くなったりしてしまいますので。
ただ、起きたあと、部屋の明かりをつけてテレビを見始めてしまうと朝まで眠れなくなってしまう可能性があるので、光や音の刺激は遠ざけてください。

本を手に取る方もいますが、薄暗い部屋で読む活字は集中してしまうので、きれいな写真集など、頭を使わずに見られるものをパラパラとめくるのがいいですね。
眠くなったらベッドに戻りましょう。

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昼食後の眠気には仮眠が効果的!

ランチの後、猛烈な睡魔に襲われるという悩みもよく聞きます。おすすめの対策を教えてください。

仮眠です。
昼食後から午後3時くらいまでの時間帯に15〜20分、椅子に座り、安静にして目をつぶります。
このとき、眠らずに目をつぶるだけでもOKです。午後3時以降や20分以上の仮眠は夜の睡眠に影響が出てしまうのでおすすめしません。

仮眠の効果1:覚醒する
仮眠の効果2:午後のパフォーマンスが上がる
仮眠の効果3:記憶力や注意力が向上する

仮眠の効果はすでに多くの研究で明らかになっていますが、まず強い眠気がなくなり、疲労感が軽減されます。
情報がシャットダウンされたことによって頭がスッキリするので、仕事のモチベーションや作業効率も上がります。
記憶力や注意力の向上に効果があることは、NASAの研究でもわかっています。

仮眠をうまく取り入れるポイント

仮眠はなるべく毎日の習慣にしてください。"寝過ぎてしまったらどうしよう"と心配な場合は、タイマーをかけるといいですね。
また、すっきりと目覚めるために、仮眠前にコーヒーを飲むなどカフェインを摂取するのもおすすめです。

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写真提供/エムール

寝具と寝室の役割

普段何気なく使っていますが、寝具にはどんな役割があるのでしょうか。

最も大切な役割が、就寝時の体温を調整することです。
寝具の中の温湿度を寝床内気候と呼びますが、適切な寝具選びは睡眠の質の向上には欠かせません。
理想は暑くも寒くもない状態をつくること。季節を問わず、汗や湿気を吸収しやすい素材を選ぶのもおすすめです。

沢田さんは寝室にも大事な役割があると言います。

ワンルームで暮らす方は、睡眠のリズムが崩れやすい場合が多いです。寝る場所とくつろぐ場所が同じで、境界線がないことが影響しています。いろいろな欲求と比べると、睡眠は少し後回しにされがちです。
でも、日中を楽しむためにも、夜はしっかり寝て、翌日すっきり目覚めることが大切です。日中を楽しむということは、人生を楽しむということにもつながります。
人生を楽しむためにも、快眠に欠かせない寝具と寝室は、重視いただきたいですね。


忙しい日々を送るたまちっぷす読者のみなさんは、睡眠時間を削って仕事をしたり、自分のための時間を捻出したりすることもあるでしょう。
そんなときは、睡眠のプロ・沢田さんの「人生を楽しむために睡眠をとる」という言葉を思い出してみてください。

眠ることが明日の幸せにつながると思うと、心地よく眠りにつけそうです。

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教えてくれた人

(株)エムール

経営企画室 室長
睡眠改善インストラクター
/睡眠健康指導士

沢田 裕さん

大学卒業後、人材派遣会社に就職し、業務設計や人材マネジメントに携わる。その後、組織コンサルティング会社に転職。コンサルタントとして活躍。同社の事業再建にも携わり、最年少役員となる。2015年9月に株式会社エムールに入社。「眠りで世界の人を元気にする」というビジョンのもと、人々の幸福と、心身ともに豊かな暮らしを提案している。

株式会社エムール:https://emoor.co.jp/

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取材・文/羽田朋美(Neem Tree)

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