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もっと知りたい、睡眠のこと~眠りのQ&A~

 

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写真提供/エムール

子どもの睡眠の疑問大人の睡眠の悩みに続き、眠りのプロにお聞きするシリーズの第3弾! 眠りに関するQ&Aをお届けします。「男女で睡眠の差はあるの?」「誰でもショートスリーパーになれるの?」など、ニッチな疑問から「どんな姿勢で寝るといいの?」「睡眠不足って太るの?」という気になる疑問まで、株式会社エムールの経営企画室室長で睡眠改善インストラクターの沢田 裕さんにお答えいただきました。

Q.男女で睡眠の差はありますか?

A.男女差はあります。日本の女性は世界的に睡眠時間が短くて有名です。

男女の差については、大きく分けて2つの観点があります。
1つは社会的な背景です。家事時間や育児時間は、年々男女差が縮小しているとはいえ、依然として女性の方が長いですし、そこに仕事も加わるとなると、物理的に睡眠時間を長く取ることが難しくなります。

もう1つが、生理学的な違いです。女性はホルモンバランスが乱れて、月経開始直後には眠気を感じやすくなることがあります。月経前は基礎体温が上がるため、逆に寝つきが悪くなります。このホルモン周期による睡眠の変化については、ご自身だけでなくパートナーが知っておくことが大事だと思います。

睡眠が不足している場合は、パートナーにもサポートしてもらうと良いでしょう。
(株式会社エムール 沢田裕さん、以下同)

Q.睡眠時間は短くてもOK?誰でもショートスリーパーになれますか?

A.ショートスリーパーにはならないでください。

睡眠時間の絶対的な指標があるわけではありませんが、アメリカの疫学調査では睡眠時間約7時間の人たちが、最も死亡率が低かったことがわかっています。また、正しい睡眠知識の啓発を大事なミッションとして活動している身として、『後天的にショートスリーパーになろうとするのはやめてください』としか申し上げられません。

『睡眠負債』という言葉がありますよね。睡眠不足が蓄積されると、心身の不調をきたす状態のことです。1〜2日睡眠不足が続いても大丈夫という方も、それが長く続くと大きな体の負担になってしまいます。
また、睡眠のリズムは一度崩れると、それを取り戻すのに時間がかかるんです。
毎日しっかりと眠り、睡眠負債をためないようにすることが肝心です。

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Q.自分の睡眠が足りているかどうかを判断する方法を教えてください。

A.休養感と日中のひどい眠気を目安にしましょう。

1つは休養感ですね。
しっかり休めているかどうかの感覚をご自身が感じられるかどうかというところが大切です。
もう1つは日中の眠気です。
眠いな、と少し感じる程度ではなく、生活や仕事など、さまざまなことに支障をきたすレベルの眠気が起きていないかどうかをポイントにしてみてください。両方ともクリアであれば、今の睡眠時間は自分に合っていると判断してOKです。
尚、心身に不調を感じているようでしたら、かかりつけ医や専門医に相談しましょう。

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Q.睡眠時間が短いと太るって本当ですか?

A.はい。夜間の睡眠とダイエットには関係があります。

睡眠不足は食欲増進ホルモンの分泌を促進します。そして、食欲を抑えるホルモンの分泌を減少させてしまいます。
そのため、いくら食べても満足感を得られなかったり、夜間に甘いものやラーメンなどが食べたくなったりするなど、体重が増えやすくなることが考えられます。

Q.やっぱり高い寝具がいいんですか?

A.価格だけでは判断できません。

高ければいいということではなく、大切なのは自分に合った寝具を選ぶことです。
寝具の選び方には優先順位があります。睡眠の質を上げるためにとりあえず枕を変えようとする方はいらっしゃいますが、敷寝具を第一に考えていただきたいですね。

敷寝具を選ぶときに大事なのが、寝姿勢です。
弊社でもショールームへフィッティングにいらしていただいた際には、マットレスで寝姿勢を見せていただき、腰が沈み込んでいないか、体のどこかに負担がかかっていないかをチェックします。
枕は敷き寝具と別々に選ぶのではなく、合わせて選ぶと良いです。また、筋肉量によっても合うマットレスが異なります。
ですから、本来は一人ひとり別々のマットレスで眠ることをお勧めします。

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写真提供/エムール

Q.寝具の寿命はどれくらいですか?

A.材質にもよりますが、枕は2〜3年が目安。敷寝具は4〜5年に一度、見直しをしましょう。

枕は形が変形していないか、高さが変わっていないかという点がチェックポイントです。
敷寝具であれば、へたって寝心地に変化が出ていないかということをチェックしてください。また、加齢によっても合う寝具は変わりますので、定期的に見直すと良いでしょう。
買い替えや見直しのタイミングが来ているのにそのまま使い続けると、首や肩、腰に痛みを感じるなど体に影響が出てくるので、注意が必要です。

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エムール体験ショールームでは、マットレスやベッド、枕などを実際に体験してから購入することができます。
※予約制/無料 
予約受付:予約フォームまたは、☎︎042-595-6251(予約電話受付時間:平日10:00〜17:00)

Q.正しい寝姿勢ってあるのでしょうか?

A.ご本人が寝やすい姿勢が一番です。

絶対にこの姿勢がいいというのはありませんが、一般的にはうつ伏せ以外が推奨されていますね。
私たちが寝具を設計するときも、仰向けや横向き寝を想定して作っています。
とは言え、人は一晩で約20回の寝返りをすると言われています。最初は仰向けで寝ても、寝ている間に横向きにもなります。
そうやって寝返りができる環境でしたら良いのですが、動けないと部分的に体圧がかかり、関節や筋肉に痛みや張りを感じやすくなってしまいます。
ですから敷寝具には、十分な広さ(肩幅の約2.5倍が目安)が必要なんです。

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知れば知るほど深い、睡眠のお話でした。
睡眠時間は、1日の約3分の1を占めます。相性がよく機能的な寝具と最適な睡眠時間で、良質な睡眠をとりたいものです。
また、睡眠の男女差はパートナーのサポートで改善していけるといいですね。
快適な睡眠のために、できることから取り入れていきましょう。

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教えてくれた人

(株)エムール

経営企画室 室長
睡眠改善インストラクター
/睡眠健康指導士

沢田 裕さん

大学卒業後、人材派遣会社に就職し、業務設計や人材マネジメントに携わる。その後、組織コンサルティング会社に転職。コンサルタントとして活躍。同社の事業再建にも携わり、最年少役員となる。2015年9月に株式会社エムールに入社。「眠りで世界の人を元気にする」というビジョンのもと、人々の幸福と、心身ともに豊かな暮らしを提案している。

株式会社エムール:https://emoor.co.jp/

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取材・文/羽田朋美(Neem Tree)

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