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自然の中で"意欲の根っこ"を育てる フォースウエルネスの探求型自然体験学習

 

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川遊びやハイキング、キャンプなど豊かな自然に親しむ活動が子どもの心身に与える影響は計り知れません。
子どものころに海や川で遊んだ経験が何度もある人ほど、大人になってからの「意欲・関心」や 自己肯定感が高いという調査結果があります。
とは言え、アウトドア経験がなく、何から始めていいかわからないパパやママも多いのでは?

そこで今回は、あきる野市および西多摩を拠点に探求型自然体験学習スクールを運営する「一般社団法人フォースウエルネス」の講師であり広報を担当している師岡龍也さんに、自然体験の魅力とフォースウエルネスの活動についてお話を伺いました。

これからの時代を生き抜くための「非認知能力」を育む

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一般社団法人フォースウエルネスは、「体の健康」「心の健康」「経済的健康」「ライフスタイルの健康」の4つの健康を柱に、代表理事の宮入正陽さんによって2020年に設立されました。

宮入は3人の男の子の父親なのですが、自身がそれまでお子さんと参加した体験学習系のプログラムでは、満足することが少なく、これでは子どもたちの意欲の根が育たないと感じたそうです。
社会の仕組みがめまぐるしく変化する中で、子どもたちが興味や意欲、積極性や粘り強さといった、テストの点数のように数値では表せない『非認知能力』を培わなければ、今の時代を生き抜けないと感じたことが、フォースウエルネスを設立したきっかけでした。

以後、フォースウエルネスは、主に西多摩エリア、あきる野市を活動の拠点とし、「探求型自然体験学習」を通して子どもたちの非認知能力を育むことを目指してきました。

探求型自然体験学習では、答えを出すだけではなく、そこに行き着くまでの多様な考えを導くことを大切にしています。川や山に身を置き、自然体験の中で小さな成功体験を積み重ねることで、子どもたちが自信をつけていくことを大切にしています。

この理念への共感が広がり、フォースウエルネスは現在、年間15,000人が訪れる自然学習スクールへと発展しました。

フォースウエルネスで体験できること

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師岡さんご自身も、フォースウエルネスの講師として活躍。「たっちゃん先生」の愛称で子どもたちや保護者から親しまれています。

フォースウエルネスの講師陣は、宮入がスカウトした地域活動に参加する方や、地域の若手が中心となっています。
僕自身も、秋川リバークリーンナップというゴミ拾いの活動を通して、宮入と出会いました。僕はあきる野市出身でして、夏休みに河原に行けば誰かしら友達がいて、そこで遊ぶような環境の中で育ちました。猟友会の会長だった祖父の家に行くと、イノシシやシカがぶらさがっていて、一緒に山へ行って狩猟をしていました。
今でも一番好きなのは魚釣り。好きが高じて、脱サラしてアマゾン川まで釣りに行っちゃいました。


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そんな師岡さんが教えているのは、キャンプやデイキャンプ、薪割りや焚き火、そして魚釣りです。

ほかにも、川でライフジャケットを着けて実際に流れてみる方法をお伝えしています。
ライフジャケットを着けていれば安心ということではなく、こういうときはこういうところが危ないですよ!ということを、楽しみながら実践的に学べるプログラムです。
それからもう一つ、Leave No Trace(リーブノートレイス)といって、どうすれば野生動物や植物、水資源、地表など自然環境にダメージを与えずに、自然を最大限楽しめるかを考える国際基準のアウトドアプログラム倫理を通して、僕たち人間が自然と向き合う上で大切なことを伝えることもライフワークにしています。

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地域に還元する仕組みで地方創生に貢献!

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子どもたちの非認知能力を育むことと並び、フォースウエルネスのもう一つの使命が、地方創生への貢献です。

地域社会を活性化するために、地域で生み出したお金を地域に還元するということを大切にしています。例えば田植え体験のプログラムは、農家さんの高齢化や後継者不足によって眠っている耕作放棄地に、自然体験をしたい都会の子どもたちを集めて田起こしから行っています。これによって子どもたちが貴重な田植え経験をできるだでなく、地域の人手不足を解消し、田んぼに水を張ることで、生物多様性が保たれるんです。そして、田んぼを貸してくださった地域のおじいちゃんおばあちゃんには、お支払いをさせていただける。
ほかにも、施設を使う際には地域の自治会館や集会所を有料でお貸出しいただくなど、地域社会で循環していく活動を大切にしています。

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やり抜くことで自信をつけた子どもたちの表情は清々しい

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フォースウエルネスの提供するプログラムで、実際に探求型自然体験学習を体験した子どもたちはどのような様子なのでしょうか。

体験は2時間半くらいのものが多いのですが、田植え体験では、最初は泥んこの田んぼに入りたくないと言っていた子が、最後は一番泥まみれになって夢中で遊んでいる姿を見ると、子どもの吸収力はすごいなぁと感じますね。その度に、私たち大人が子どもたちに変なバイアスをかけてしまっていることを反省します。

代表の宮入も、やり抜くことや成功することを通して、子どもたちは自信をつけてよろこんでいるということをよく言っています。
最初はやりたくないと思っていたけれど、やってみたらおもしろかった。そんなふうに、泥まみれの楽しさを知ることも、子どもにとっては成功体験なんです。
そして、そうした体験が家族との会話の弾みにもなっています。フォースウェルネスが親子で参加するプログラムを数多く提供しているのは、自宅に帰ってから振り返りの学習ができるからなんです。今日初めてお魚に触れたねとか、初めてカエルを見たねとか、魚釣れたね......など、怖かったけれどできたね!ってお話を、ぜひご家庭でしていただきたいですね。それが子どもたちの、"またチャレンジしてみたい!"という意欲の根っこにつながるのかなと思っています。

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体験の後、保護者からは「"あのときたっちゃん先生が言っていたね"ということを子どもがよく話します」という感想が寄せられるのだとか。意欲的に楽しみながら学んだ時間は、子どもたちの心にしっかりと刻まれています。
最初は親も子もちょっぴりドキドキする初めての自然体験。
でも、自然の楽しさも厳しさも知っているたっちゃん先生をはじめフォースウエルネスの講師陣が体験するおもしろさを教え、できたことを一緒によろこんでくれます。そんな探求型自然体験学習の話を聞いているだけで、何だかとてもワクワクしてきました。

最後に、代表の宮入さんからたまちっぷす読者にメッセージをいただきました。

みなさんがお住まいの多摩地域は、自然に文化、歴史と大変魅力ある場所です。フォースウエルネスの活動場所は近くにありますので、ぜひ最大限ご活用ください。

自然豊かな多摩地域に暮らせて本当によかった!そう思えるような、フォースウエルネスの探求型自然体験学習プログラム。
夏だけでなく、一年を通して行なっているので、参加してみてはいかがでしょうか。

▼一般社団法人フォースウエルネス公式ホームページ
https://www.fwness.com/

▼体験の詳細はこちら
https://helloaini.com/users/211100?prcd=vWj80

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教えてくれた人

一般社団法人フォースウエルネス 講師・広報担当

師岡龍也さん

猟友会会長の祖父から影響を受け、幼いころから自然環境に対して興味を持つ。
地元の秋川流域で水中昆虫や魚類などを網や釣りで捕獲して生き物の観察を続け、子どもたちに学習として生物多様性を伝えている。
釣りに関しては、南米アマゾン川の奥地まで行くほど。
地元の秋川渓谷でリバークリーンを開催し、山と海の繋がりを参加者に伝え海にゴミを流さないということを目標に活動している。また、日本の課題でもあるアドベンチャーツーリズムのガイド育成を東京山側で社団として推進している。

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取材・文/羽田朋美(Neem Tree)

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